今回は、65歳以上で退職した場合にもらえる可能性がある、「高年齢求職者給付金」のしくみを説明します。※本連載は、社会保険労働保険手続きや給与計算等に関するアドバイスを行う、社会保険労務士法人小林労務管理事務所の著書、『これ一冊でぜんぶわかる!年金のしくみともらい方2017~2018年版』(ナツメ社)の中から一部を抜粋し、ややこしい年金制度の「しくみ」と、年金の正しい「もらい方」について分かりやすく説明します。

高年齢求職者給付金と老齢厚生年金は、両方もらえる

65歳以上で退職した場合は、ハローワークから高年齢求職者給付金をもらえる可能性があります。

 

<ちょっと補足>

高年齢求職者給付金の額

雇用保険の被保険者であった期間と基本手当の額によって決まります。

 

高年齢求職者給付金は、基本手当(失業保険)や高年齢雇用継続基本給付金とは違って、老齢厚生年金との調整はありません。したがって、高年齢求職者給付金と老齢厚生年金は両方、もらうことができます。

 

[図表1]高年齢求職者給付金と老齢厚生年金

雇用保険との調整は「届出不要」

年金を受け取る権利が発生した日と、求職の申し込みをした日または高年齢雇用継続給付を受けられるようになった日が、平成25年10月1日以後の場合は、雇用保険と老齢年金の調整に必要な届出書の提出は不要となりました。年金請求書に雇用保険被保険者番号を記入するので、それによって年金事務所が雇用保険の受給情報を確認できるためです。

 

ただし、年金を受け取る権利が発生した日と、求職の申し込みをした日または高年齢雇用継続給付を受けられるようになった日が、平成25年10月1日よりも前の場合は、雇用保険と老齢年金の調整に必要な手続きが必要です。その場合、「支給停止事由該当届」を年金事務所へ提出します。

 

なお、年金請求時に、雇用保険被保険者番号を持っていなくて記入しなかった場合、年金を受けるようになったあとに雇用保険に加入し、求職の申し込みをしたときや、高年齢雇用継続給付を受けられるようになったときなども支給停止事由該当届の提出が必要です。

 

支給停止事由該当届の提出には、ハローワークから交付される雇用保険の給付が確認できる書類(失業給付の場合は「雇用保険被保険者証」、高年齢雇用継続給付の場合は「高年齢雇用継続給付支給決定通知書」のコピー)をいっしょに提出します。

 

<ちょっと補足>

雇用保険被保険者証を紛失したら?①

雇用保険被保険者証は会社を通じて被保険者に渡されるものですが、会社側が保管する場合もあります。手元にない場合は会社が保管していないか問い合わせをしてみましょう。

 

[図表2]老齢厚生・退職共済年金受給権者支給停止事由該当届

 

<ちょっと補足>

雇用保険被保険者証を紛失したら?②

自分の手元にもないし、会社も保管していないという場合は、ハローワークで再発行してもらいます。 

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