海外不動産を担保にした融資は日本で受けられない、という常識を覆した西京銀行の「海外不動産担保ローン」。今回は、タックスプランニングの一環としてアメリカ不動産投資がどのように利用されているのか、そして、その中で不動産担保融資の有無がどのような違いを生むのかを解説する。

「土地価格:建物評価額=2:8」という中古物件も

いま、アメリカ不動産投資が多くの投資家から注目を集めているのは、その投資対象としての魅力(インカムゲインあるいはキャピタルゲイン狙い)の他に、タックスプランニング(課税繰り延べ)の一環という面もある。まず、そのメカニズムを簡単に確認しよう。

 

前回でも触れたが、アメリカでは日本のような「新築信仰」は見受けられない。そのため、きちんとメンテナンスさえしておけば、建物が中古という理由だけで不動産価格が大幅に下がることも考えにくい。

 

この結果、エリアにもよるが、中古一戸建ての土地価格と建物評価額との割合が2対8といったケースが散見される。たとえば、物件価格が50万ドル(約5500万円)の場合、土地価格が10万ドル(約1100万円)、建物評価額が40万ドル(約4400万円)といった具合だ。日本であれば、中古物件で土地価格と建物評価額が2対8になることなど、普通は考えられない。このように、アメリカでは建物評価額が相対的に高いというのが第一のポイントである。

 

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次に、物件の所在地がアメリカであったとしても、日本人の場合、不動産投資については原則的に日本の税制も適用される。つまり、木造住宅の法定耐用年数は「22年」で、築年数が22年を超える物件であれば、4年間での減価償却が可能になる。アメリカでは中古住宅の建物評価額が高いことと、税制で規定された法定耐用年数による減価償却費とがあいまって、大きな課税の繰り延べ効果が生じる。

 

一方、アメリカ不動産に投資しようと思い立ったときに、大きな壁として立ちはだかるのが融資の問題である。

 

日本国内で不動産投資をする場合に、まったく融資を受けずに、自己資金だけで物件を購入する人は少ないだろう。購入する物件自体を担保に融資を受けながら投資を行うことで、資産全体の利用効率が高まる、いわゆる「レバレッジ効果」が生じる。

 

長期間・低金利の融資を受けられることが不動産投資の特徴であり、多かれ少なかれ融資を活用しながら、レバレッジをかけて資産を増やしていくことが、不動産投資の醍醐味ともいえる部分である。

 

アメリカ不動産投資の場合、レバレッジをかけることができれば、冒頭で述べた課税繰り延べ効果についても、より大きなものにすることが可能となる。

アメリカ現地の金融機関で融資が受けられたとしても・・・

では、アメリカ不動産投資に際して、日本国内の金融機関はその物件を担保に融資をしてくれるだろうか? 答えは基本的に「No」である。

 

海外の不動産は基本的に担保として認められない。これは、実際の不動産の状況などが現地に行かないとわからないということが大きな理由である。

 

では、アメリカ現地の金融機関から融資を受けるのはどうか? これは、不可能というわけではないが、簡単ではない。なにしろ、アメリカでは日本人は外国人である。なんの取引実績もない外国人が、担保があるとはいえ、いきなり融資を受けられるとは考えにくい。

 

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もし仮に融資を受けることができたとしても、

 

●審査時間が、場合によっては1ヵ月以上など、非常に長くかかる
●海外の金融機関は金利がもともと高い上に、外国人のプレミアムが加算されて借入金利が高くなる
●多数の英文書類をやり取りしなければならない

 

といった制約が課せられる。タイミングやスピードが命となる不動産投資においては、なかなか利用できるものではないだろう。

 

このように、アメリカ不動産投資に際しては、日本国内、アメリカ現地、いずれの金融機関でも、融資を活用することは難しかった。結局、アメリカ不動産投資にあたっては、購入資金の全額を自己資金、すなわちキャッシュで支払うのが常識だったのである。当然、投資をできるのはそれだけの余裕資金を、いわば遊ばせている人に限られる。

 

ハワイのように、不動産投資の利回りが非常に低いエリアの場合、将来のキャピタルゲインは見込めるにしても、それまでの数年~数十年間、投資した資金を完全に「寝かせた」状態になってしまう。資金効率を考えれば、「アメリカ不動産投資は魅力的だけど、やっぱりやめておこう」という人が多かったのも仕方がない。

 

こうした人々の悩みを一掃するのが、今回の「海外不動産担保ローン」の登場だ。前述のように、日本の金融機関だけでは海外不動産を担保とした融資を行うことができない。ところが、「海外不動産担保ローン」では、アメリカ不動産(現時点ではハワイ不動産)の現地事情に精通した保証会社が関与することで、文字どおり、海外不動産を担保とした融資が受けられるのである。

 

次回は、この「海外不動産担保ローン」について、より詳しく解説する。

 

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取材・文/椎原芳貴
※本インタビューは、2018年1月11日に収録したものです。

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