写真:GTACスタッフ

国際水準から見ればまだまだ安価なことを考えると、スリランカでのアート投資は絶好のタイミングを迎えているのかもしれません。しかし、スリランカにはアート投資の成功を阻む要因も潜んでいます。

「作品を堪能する」という喜びも加わるアート投資

もちろん、人は長い歴史の中でずっと芸術作品を収集してきた。何百年もの間、懐に余裕を持つ人々は芸術作品を集め、作品制作を依頼することもあったが、それには様々な理由があるだろう。

 

自宅に作品を飾りたい人、貴重なものを所有しているという誇りを得たい人、奮闘するアーティストたちを支援することに喜びを覚える人や、芸術性が高く洗練された作品を所有することで自己満足を覚える人もいる。

 

一方で投資的観点から見ても、芸術作品への投資は土地や株式のような面白みがないものへの投資と同じぐらい安全だとされている。そこに購入した作品の美しさを堪能できるという喜びが加わるのがアート投資だ。

適切保管に不可欠な技術が、スリランカには不足!?

しかし不運にも、スリランカの気候は芸術作品を保管しておくのに最適なわけではない。熱気と湿気が、絵画やドローイングの紙や素材を劣化させ、彫刻を腐食させる可能性がある。

 

Anojie Amerasingheさんは6年ほどアートコレクターとして活動しているが、スリランカで購入した作品は必ずベルギーかロンドンの自宅に移動させている。たとえ部屋がきれいで定期的に換気されたとしても、空気がよくない部屋に数ヶ月でも閉じ込めてしまえば、作品が劣化するかもしれないため、コロンボのアパートには置いておきたくないそうだ。

 

油彩画は最も丈夫だというのはよく知られているが、ドローイング、印刷物やその他の紙の作品は、スリランカの気候向きではない。「それらの作品はどんな気候や環境の場合でも扱いが大変です。高い湿度や紫外線にさらしてしまえば、更に劣化してしまうでしょう」と彼女は説明した。

 

芸術作品の保管には、献身さと一流の環境が必要だ。スリランカの気候条件下では尚更そうだろう。しかし、これらこそがまさにスリランカに欠けているものなのだ。

 

Amerasingheさんはスリランカでの絵画にフレーミングする技術は未熟で、その作業によって作品が損傷されたり、フレーミングが必要な作品もその作業に取り掛かるまでに、家具や壁にそのまま飾られたりと放置されていると話す。

 

以上のような状況から、Amerasingheさんは美術館水準のフレーミングを行うロンドンのJohn Jones社に自身のアート作品を大量に持っていくことにした。John Jones社はどんな作品を扱うにも細心の注意を払い、作品の最適な保管法についてアドバイスをくれるそうだ。


次回は、スリランカのアート界の将来性についてお伝えします。

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    この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「Collectibles As Investment Assets」を、翻訳・編集したものです。

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