前回は、「株式会社」の企業形態について説明しました。今回は、プライベートバンクで働く従業員たちについて解説します。

従業員の中核となるのは「顧客担当者」

本場のプライベートバンクにおいては、パートナーと呼ばれる創業者ファミリーがその所有と経営を担っているわけですが、それでは従業員はどのような人たちなのでしょうか。

 

従業員で中核になるのは、顧客担当者です。

 

日本の銀行の担当者との最も大きな違いは、伝統的プライベートバンクの顧客担当者には一般に営業ノルマといったものがないということです。

 

1人が担当する顧客は数十人から200人程度まで幅がありますが、プライベートバンクとしての収益はその預かり資産に対する一定料率の報酬が中心であり、日本の銀行のように貸し付けによる利息や金融商品の販売手数料で稼いでいるわけではありません。

 

ですから、借り入れを勧めたり、金融商品を買わせようとしたりする必要がないのです。

担当者自身も資産家であり、顧客への理解が深い

かといって、プライベートバンクの顧客担当者の経験やノウハウが低いということは全くありません。

 

私が知っている範囲では、プライベートバンクの顧客担当者は、他の大手銀行のプライベートバンキング部門などで経験を積み、一定の年齢になってからプライベートバンクに移籍するケースが目立ちます。年齢では40代以上が多く、30代はあまりいません。

 

語学については、2カ国語以上、3カ国語、4カ国語を操るのは当たり前。国際的な広い視野を持ち、金融業界の最先端の動きにも通じている金融業界の大ベテランです。

 

さらに顧客担当者自身、十分な資産を持っており、それを自分が勤務するプライベートバンクに預けています。彼らは自分たちも資産家なので、顧客の気持ちや考えがよくわかっています。

 

また、商業銀行や投資銀行のように短期の売り上げや運用益で報酬のほとんどが決まるといったことがないので、顧客にとって本当にためになる提案をしっかり腰を据えて考えることができるのです。

 

顧客との関わりは通常年に1回、運用状況の報告と次年度の運用方針についてミーティングを行います。顧客のほうから適宜、相談したりすることは可能ですが、担当者のほうから頻繁に連絡してくることはありません。

 

資産家は本業で多忙なことが多いものです。にもかかわらず無駄な連絡を頻繁に入れてくる金融機関の担当者に辟易ぎみの資産家にとっては、ありがたい距離感を保ってくれます。

 

もちろん、自分の仕事に誇りを持っており、みなさんも実際に付き合ってみれば、「本物のバンカーというのはこういうものか」と驚かれるはずです。

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