運用対象としての「優先証券」の位置付けと今後の展望とは?

優先証券の運用に特化した米国スペクトラム・アセット・マネジメント社の最高執行責任者(COO)、シュー・R・バイヤー氏へのインタビュー。第5回目のテーマは、「運用対象としての優先証券の位置付けと今後の展望とは?」。聞き手は、香港の新しい金融機関であるニッポン・ウェルス・リミテッド(NWB/日本ウェルス)の幾田朋彦氏である。

より高い分散効果を追求するための道具として捉える

幾田 投資家の中には既に株式、債券、さらにはオルタナディブ投資に分散投資をしている方もいらっしゃいます。優先証券をこの中に組み入れることは有益なのでしょうか?

 

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バイヤー 優先証券は資産配分に占める債券投資を補完する資産クラスという考え方ができると思います。我々は株式ファンドやヘッジファンドとは競合関係にありません。国債、社債、ハイイールド債、バンクローンと同様、債券の細かいカテゴリーの1つとお考えいただきたいと思います。

 

また、優先証券は比較的高い利回りを提供しますので、REITやMLP等のハイインカム投資として位置づけられている場合もあります。私達が検証した限りでは、伝統的な債券への資産配分の5~20%程度を優先証券に振り分けることで、一定の分散効果が見込まれるとの結果を得ています。つまり、優先証券への投資はより高い分散効果を追求するための道具として活用いただくのが、最も適していると言えるでしょう。

価格変動の小さい債券投資への需要が高まっている!?

幾田 優先証券は株式や通常の債券と異なる値動きをするので、資産配分を調整することでより効率的にポートフォリオを運用することができるということですね。スペクトラム社の預り資産は2009年、2010年あたりから2015年にかけて、急速に成長を遂げています。それは金融機関を取り巻く規制強化の影響でしょうか、それとも優先証券への投資効果への認知度が上がってきたからでしょうか?

 

バイヤー 2007年から2008年にかけてはリーマンショックの影響による資産流出と価値減少により、我々の預り資産は縮小しましたが、2009年以降はその反動もあり、素晴らしい回復を遂げました。金融危機のリバウンド効果もありますが、2010年以降も継続的に成長を続けている理由の1つとして、利回りに対する世界的な需要の高まりが挙げられます。

 

我々は欧州、アジア、北米、南米、ありとあらゆる場所を訪問しますが、相対的に安全で、それなりの利回りで運用できる資産クラスに対する需要は、ここ数年間衰える兆しがありません。金融危機時に見られた価格変動は私を含め、多くの市場関係者を驚かせました。価格変動が相対的に小さい債券投資に対する関心の高まりとともに、優先証券も資産クラスとしての地位を自然と高めていったのです。恐らく、この傾向は当面の間、継続するでしょう。

金融機関の資本規制の動きが今後の発行ニーズを左右

幾田 最後の質問です。優先証券は規制上の資本の要件を満たすために、規制強化とともにCoCo債といった新しいタイプの優先証券が誕生してきました。今後もさらに新しいタイプのものが台頭すると思いますか?

 

バイヤー 目先の発行スケジュールを見る限り、新規発行の勢いが衰えている形跡は見られません。CoCo債は2010年以降に本格的に流通しはじめた比較的新しい優先証券で、目まぐるしく変わる自己資本規制に対応するために生まれました。CoCo債のような「新しい」優先証券が生まれる一方、「古い」優先証券は数が少なくなってきています。こうしたイノベーションは米国や欧州の銀行が中心となって行われていますが、今後は優先証券の仕組みそのものの変化は、今までのように頻繁には見られなくなるのではないかと思います。

 

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また、これまではどちらかと言えばバランスシートを縮小する過程の中で優先証券は発行されてきましたが、グローバル経済がプラス成長に軌道修正する過程でどういった進化を遂げるかは、私達にもわかりません。ただ、当局による資本規制がより強化されるようなことがあれば、優先証券を発行するニーズは金融機関の間で高まることでしょう。

本稿は、情報提供を目的として、インタビュー時点での経済データ等をもとに個人的な見解を述べたもので、スペクトラム・アセット・マネジメント社およびNWBとしての公式見解ではありません。また、特定の金融商品への投資の勧誘を目的とするものではありません。

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スペクトラム・アセット・マネジメント社 最高執行責任者

シニア・バイス・プレジデントとして2007年に入社。商品開発、クライアント・リレーション、マーケティングおよび資産運用を担当後、2010年1月に現職に就任。スペクトラム入社前は、A.G. Edwardsファイナンシャルサービスグループのバイス・プレジデントおよびディレクターとして8年間勤務。
1991年にArmstrong Teasdale LLPの弁護士としてキャリアをスタートして以降、優先証券の発行会社や引受業者の代理人としての経験を積む。イリノイ大学アーバナシャンペーン校の数学学士および法学博士(J.D.)。ミズーリ州およびイリノイ州法曹協会会員。

著者紹介

Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(NWB/日本ウェルス) シニア・マネージャー

2006年より三菱UFJモルガン・スタンレー証券(入社当時は三菱UFJ証券)にてリテール営業、株式、仕組債、商品戦略等の幅広い業務に従事。2011年から2012年にはニューヨークのモルガン・スタンレー・ウェルスマネジメント(当時はモルガン・スタンレー・スミス・バーニー)でマネージド・アカウントをはじめとする米国の富裕層ビジネスの現場で経験を積む。2014年、現職であるNippon Wealth Limitedの商品およびビジネスデベロップメントの責任者として就任。国際基督教大学卒。
WEBサイト https://jp.www.nipponwealth.com/

著者紹介

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