今回は、船旅にまつわる「6つの誤解」について見ていきましょう。※本連載は、外国客船「オーシャニアクルーズ」の乗船コーディネーターである喜多川リュウ氏の著書、『極上のクルーズ手帖』(クルーズトラベラーカンパニー)の中から一部を抜粋し、クルーズ旅行の予約から、下船までの基礎知識を紹介します。

手軽なコースなら、航空券含め10万円前後で乗船可能

本編に入る前に、いままで、そしていまも多くの方が抱いている船旅にまつわる誤解や先入観をすっきりと解消しておきたい。

 

●誤解1 船旅は高額だ

 

テレビや新聞では「世界一周100日間で数千万円!」などという報道が目に付くが、じつは一般的な船旅の料金は、あなたが普通に参加している海外ツアーとそれほど変わらない。

 

船のランクや航海期間にもよるが、たとえばシンガポールやロサンゼルス発着の手軽なコースなら、3泊4日(日本発着の最短旅行期間は5日間)からあり、日本からの往復航空券代を入れても総額10万円前後から乗れる。

 

この料金には、乗船中のすべてのフルコースの食事や、ショーの観覧やイベントの参加も含まれている。5日間のハワイ旅行も、旅行代金にプラスして、レストランでの毎回の食事代やアトラクション代を含めれば、結構な料金になってしまうだろう。

 

●誤解2 船旅は旅行期間が長い

 

船旅には日本からの往復の飛行時間を入れても5〜10日間くらいで完結するものがたくさんある。世界的に見ればむしろそのくらいの期間が主流なのだ。たとえば、フロリダ在住の夫婦が、自家用車をマイアミの港に停めて週末をはさんで4日間のバハマクルーズに乗船したり、バルセロナに住むスペイン人が家族連れで1週間の地中海クルーズに参加したり、といった具合だ。

 

●誤解3 船旅は堅苦しい

 

船旅では、たしかに“盛装”をする機会がある。通常3日に1回程度、夕食時間から盛装することになる。しかし、船上ではあくまでも華やかな時間を楽しむための「盛装」であって、けっして形式張った「正装」ではないことをご理解いただきたい。

 

その夜はスタッフもタキシードやドレスに身を包み、乗客を別世界へとエスコートする。キャプテンを交えての優雅で心地よいひとときは、船上で最も盛り上がる特別な「おとなの時間」なのだ。また、最近は盛装を廃止した船会社も増えてきている。

船旅を彩る「盛りだくさんのイベント&ショー」

●誤解4 船旅は退屈だ

 

船はそもそも「移動手段」であるということを思い出してほしい。そして、動いているのはたいていがディナーから翌朝までの時間、つまり食べているか、ナイトショーを観たり、カジノで遊んでいるか、寝ているかの時間なのだ。だから移動時間として苦痛に感じる時間はとても少ないし、バスや列車の移動とは比べ物にならないほど、時間効率もいい。

 

ときおり、終日航海日──文字通り、どこにも寄港しないで航行し続ける日──がある。しかし、船旅の辞書に「退屈」という文字はない。一度でも船旅を経験すると、船内で行なわれる趣向を凝らした盛りだくさんのイベントやショーに驚く。「これが移動中?」と疑いたくなるほど、夢のような楽しい時間が船のあちこちで繰り広げられるのだ。

 

●誤解5 船旅は揺れる

 

横浜ランドマークタワー(296m/70階)がそのまま横になって海を進む姿が想像できるだろうか。現在の主流となっている客船の大きさはちょうどそれくらいなのだ。ちょっとやそっとの波ではびくともしない。それに客船は世界の7つの海を自由自在に移動できるので、季節に応じたつねに天候の安定した海域を選んで運航される。揺れないのがもの足りないほど、静かに海を滑っていく。

 

●誤解6 船旅は言葉の壁がある

 

客船は「動くリゾートホテル」。世界各国からの乗客に満足のいくサービスを、誠意をもって提供するのがスタッフの最大の任務だ。言葉の違う乗客の扱いにも慣れている。むしろ、船旅だと普通のホテルに泊まるよりも同じスタッフと触れ合う機会も多いので、言葉の壁などすぐに乗り超えて親しくなってしまう。文法通りの英語よりも、日本語とジェスチャーで語りかけるほうが気持ちが通じてしまう。

 

また、最近では日本人スタッフを置いたり、定期的に日本人コーディネーターを乗船させている船会社も増えてきている。

 

現段階でのあなたの先入観と現実の船旅とのズレはどれくらいだっただろうか。それではさっそく洋上でのエピソードを盛り込みながら、船旅の魅力と使われる言葉の意味をひも解いていこう。

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