今回は、外国債券に潜む「3つのリスク」を見ていきます。※本連載は、株式会社小宮経営コンサルタンツの代表・小宮一慶氏の著書、『知っているようで知らない、お金の貯め方・増やし方』(PHPエディターズ・グループ)より一部を抜粋し、知っているようで知らない「お金の守り方」をご紹介します。

価格変動リスク・信用リスク・為替リスク

「日本より格付けの高い国の国債を買ったほうがより安全だし、金利が高ければ運用にも有利のはず」

 

そう思った人もいるかもしれません。確かに、国債を発行している国は日本以外にもたくさんありますし、国債の信頼性や金利だけを見たら、その通りです。

 

外国の国債には次の三つのリスクがあると言われています。

 

1 価格変動リスク

2 信用リスク(カントリーリスク)

3 為替リスク

 

価格変動リスクは、全項の利回りのところでも解説しましたが、国債の価格が上下するリスクです。満期で売れれば元本が保証されますが、満期を迎える前に売るときには購入時よりも高い価格のときもあれば、安い価格のときもあります。安い価格で売れば、お金は減ってしまいます。これは日本国債にもあるリスクです。

 

信用リスクは、その国の信用が高いか、低いかで、先述した格付けで分かります。信用の低い国債の場合、デフォルト(債務不履行)となり元本が戻らない可能性もあります。

 

為替リスクは、円と外貨の交換レートが変わることによるリスクです。

 

たとえば、1ドル100円のときに、1ドルの国債を買ったとします。それを1ドル105円のときに売ると、国債は同じ1ドルでも円に換算すると105円になり、お金が増えます。逆に、1ドル95円のときに売ると95円になり、お金が減ってしまいます。

 

実際には、円でドルを買うとき、ドルを売って円を買うときに手数料が発生しますので、その分のお金も減ります。

 

このように、外国の国債にかかわらず、外貨預金、外国の社債、外国の株式や投資信託にも為替リスクがあります。

為替リスクのある商品は「守るお金」の運用に不向き

そして、為替相場は上げ下げが急激で、かつ上げ下げの幅も大きいのが特徴です。

 

たとえば、ドル円相場で言えば、固定相場だった1ドル360円が円の最安値ですが、1995年4月には79円台まで円高になりました。その差は281円もあり、4倍以上も円の価値が上がったことになります。

 

その後、1998年8月には147円台まで円安になりますが、年末には110円台まで円高になりました。4カ月間で35円以上も急激に動いたのです。

 

ここ10年を見ても、2007年6月に124円台の円安でしたが、2011年10月には75円台まで円高が進みました。2015年6月には125円台まで円安になりましたから、50円上がって、50円下げたことになります。

 

中間の100円から見れば、25%上がることもあれば、25%下げることもあるということですから、ハイリスクだと言えるでしょう。

 

このように、為替相場の動きは急激で大幅。しかも円安に動くのか、円高に動くのかがプロでも読めません。専門家の中には、円安になると言う人も、円高になると言う人も常にいます。

 

ですから、国債自体が確定利回りだったとしても、為替によって25%増えることもあれば、25%減ることもあり、ハイリスク・ハイリターン商品ということになります。「守るお金」の運用には不適当なのです。

 

これは外国の国債にかかわらず、社債や株式、投資信託、外貨預金であっても、為替リスクのある金融商品はすべて同様です。「守るお金」の運用は国内で行うのが基本です

知っているようで知らない、お金の貯め方×増やし方

知っているようで知らない、お金の貯め方×増やし方

小宮 一慶

PHPエディターズ・グループ

お金がなかなか貯まらない人やお金の増やし方がわからない人、これから株や投資信託を始めたい人のための、貯蓄と投資の入門書決定版! 必要な保険、投資の原則、金融商品の見極め方、年金の未来など、お金を着実に貯め、増や…

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