オフィス市場の動向から見る「不動産マーケット」の展望

今回は、オフィス市場の動向から2017年の不動産マーケットを振り返るとともに、2018年以降の見通しを見ていきます。※ロサンゼルスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービス会社のシービーアールイー株式会社(CBRE)。本連載では、そのリサーチ部門が世界の不動産市場の最新情報をお伝えします。

東京市場は、空室率の上昇・賃料下落の加速を予想

前回に引き続き、不動産マーケットの動向を見ていきます。

 

<オフィス市場>

 

東京オフィス市場では、「貸し手市場」から「借り手市場」への移行が徐々に進むと考えられる。

 

東京で予定されているオフィス新規供給は、2018年と2019年の年平均で23.3万坪と、過去10年間の年平均18万坪を3割近く上回る。堅調な経済環境を背景にオフィス需要は決して悪くない。企業業績は好調でオフィス拡張意欲は旺盛と言っていい。

 

採用面で有利な好立地・優良スペースを求める動きも相変わらずみられる。しかし、労働需給が逼迫する一方で商品やサービスの価格を上げにくいという環境下、企業がコストに慎重になっているのも事実である。

 

今後、東京オフィス市場の空室率は2019年末時点で5%弱と、2017年末に比べて3%ポイントほど上昇する見込み。その結果、グレードA賃料は2019年末までで8%程度下落すると予想する。なお、2020年には、空室率の更なる上昇、賃料下落の加速を予想している(図表1参照)。

 

その理由は2つある。

 

第一に、消費税の税率が予定どおり2019年10月に引き上げられれば、米国経済の成長鈍化と相まって日本経済はマイナス成長が予想されること。

 

第二に、2020年の東京オフィス市場では2018年を上回る新規供給が予定されていることである。現在の予想では、グレードA賃料につき、2017年末から2020年末までで2割程度の賃料下落を予想している。ただし、消費税の増税が延期された場合は、賃料の下落幅は10%強にとどまると試算される。

 

[図表1]東京グレードA賃料:シナリオ別予想

出所:CBRE、2017年11月
出所:CBRE、2017年11月

大阪・名古屋をはじめとする地方都市では賃料上昇も

一方、地方都市の中には、既に東京以上に需給がタイトな都市が多い。また、いずれの地方都市も今後の新規供給は限定的である。したがって、大阪、名古屋をはじめとする10の地方オフィス市場では、賃料の上昇傾向は今後も続くと予想する(図表2、3参照)。

 

[図表2]東京と地方都市の新規供給

出所:CBRE、2017年11月
出所:CBRE、2017年11月

 

[図表3]オフィス都市別賃料と空室率の予想(2017-2019)

出所:CBRE、2017年11月
出所:CBRE、2017年11月

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写真は、リサーチ エグゼクティブディレクターの大久保寛氏。
CBREのリサーチ部門の責任者として、オフィス、物流施設、商業施設の賃貸市場ならびに売買市場のリサーチ業務を統括。製鉄会社および投資銀行勤務を経て1997年から2013年まで証券アナリストとして株式リサーチ業務に従事。2000年からはJREITを中心に不動産セクターを担当。UBS証券、ゴールドマンサックス証券、マッコーリーキャピタル証券、みずほ証券を経て、2013年10月より現職。

著者紹介

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