「基金拠出型医療法人」に移行して相続税を軽減する方法

前回は、「節税マトリックス」の図をベースに、タイプ4とタイプ5について説明しました。今回は、「タイプ6 従来型の医療法人を運営している病院経営者」について見ていきます。

利益が出ると相続税負担も増える従来型の医療法人

【タイプ6】従来型の医療法人を運営している病院経営者

ここでいう「従来型の医療法人」とは、出資持分のある医療法人のことです。以前は、すべての医療法人が「出資持分のある医療法人」でした。しかし、平成19年の制度変更により、持分の定めのある医療法人は廃止され、新たに設立する医療法人は出資持分のない「拠出型医療法人」となっています。

 

従来型の「持分あり」の医療法人の場合、病院に利益が出れば、その分、出資した持分の価値が上がったため、相続時には大きな負担となる可能性がありました。「持分なし」の基金拠出型医療法人(拠出型医療法人の一類型)であれば、個人が拠出した財産は医療法人からは切り離されるため、医療法人の利益が拡大しても個人の相続税負担が増えることはありません。

 

現在は経過措置期間中ですが、相続を考えると、早めに従来型の医療法人から基金拠出型医療法人に移行したほうが望ましいでしょう。

 

しかし、そのためにはいったん、従来型の医療法人への出資分を払い戻してもらうか、持分を放棄しなくてはなりません。前者の場合は、持分の値上がり分に対して配当所得と見なされ総合課税されます。そのため、最高で50%の税率がかかる可能性があります。また、後者の場合は「放棄」ですから出資持分は1円も戻ってきません。

別法人に出資持分を譲渡して税負担を軽減する手も

できるだけ税負担を抑えながら、出資持分のない「基金拠出型医療法人」に移行するにはどうしたらよいでしょう? 実は、別の法人を間に入れることで、かかる税率を50%から20%に引き下げることが可能です。


●税負担を抑えつつ、医療法人から出資持分の払い戻しを受ける
●持分なしの医療法人への移行で相続税負担を軽減する

 

20%は税金として支払う必要がありますが、この方法を使うことで8割の出資分は取り戻すことができ、さらに基金拠出型医療法人を設立することで、今後は持分の値上がりによる相続税の上昇についても心配が要らなくなります。

 

病院経営専業ではなく医師としても働いている場合は、なかなか本業以外に時間が取れないことが多いようです。しかし、安心して本業に従事するためにも、こうした対策を知って早めに実行に移すことが大切です。

本連載は、2013年2月4日刊行の書籍『戦略的「節税」経営』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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税理士法人K・S・D 代表社員

平成元年、明治大学政治経済学部を卒業、野村證券に入社。同社を退社後、平成6年に税理士事務所に勤務、会計人としてのキャリアをスタートさせる。平成19年、石川県金沢市にて越田税理士事務所を開業。以来、提案型会計事務所を標榜し、節税対策を絡めた自社株対策、相続・事業承継対策、決算対策など、コンサルティング活動を行う。平成23年には個人事務所を税理士法人K・S・Dへと法人組織化、併せて港区北青山に東京事務所を開設する。また、主要都市でのセミナーを精力的に行うなど、全国各地で活動の場を広げている。

著者紹介

戦略的「節税」経営

戦略的「節税」経営

越田 学

幻冬舎メディアコンサルティング

日本の多くの中小企業オーナーが、過大な税負担に悩んでいます。法人では、海外に比べて高い税率の法人税。個人では、金額に応じて税率が上がる所得税。さらに、将来の事業承継を考えたときには、贈与・相続税の問題が重くのし…

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