今回は、事業計画に盛り込む「ターゲット像」の決め方を見ていきます。※本連載は、戦略コンサルタントとして地域活性、事業再生、販路拡大、補助金活用など幅広い分野で企業経営者に戦略指導を行う辻・本郷 ビジネスコンサルティング株式会社専務取締役・若狹清史氏の著書『創業補助金』(東峰書房)の中から一部を抜粋し、創業時の補助金申請に必要な事業計画書の作成方法について解説します。

仮説をもとにペルソナ設定を行い、そこから取捨選択を

商品・サービスの提供は「誰に」行うのでしょう? できるだけ具体的にイメージしてみます。個人向けなら、年齢層、住んでいる地域、職業は、どんな好みで、何を必要としているか等。会社向けなら、所在地、どんな業種で、開業がいつで、受注先はどんなところで、従業員は何名ですか。どんな課題があって、何を求めていますか。

 

仮想ターゲット像となる、1人または1社にまで落とし込みましょう。これをマーケティング業界では「ペルソナ設定」と言います。最大限に想像力を動員して、いくつかの仮説を立ててみましょう。取捨選択をしていくことで、ひとつのペルソナが見えてくるはずです。仮想ターゲットが明確となれば、事業計画全体の軸が決まります。ビジネスを展開していくうえで、軸がしっかりと決まれば、ターゲット客層の嗜好と食い違う可能性も減ります(例えば、ビジネスを展開する場所、商品やサービスの内容や名称、イメージカラー、広告方法等)。

 

[図表]ターゲット像

 

例1

銀行に勤務していて、現在新宿支店にて窓口を担当している。長野県出身で大学時代から東京に在住。大学卒業後、東京で就職。28歳独身。趣味は料理で、料理教室に通っている。土日は代官山のカフェめぐりをして過ごすことが多い。

 

例2

都心まで電車で1時間の埼玉在住。埼玉県庁に勤務。42歳課長。6人の部下がいる。若手の育成に奮闘している。家族構成は同い年の妻、高校3年生の長男と中学1年生の娘がいる。受験を控えた長男と思春期の娘に囲まれ、家に帰っても居場所がない。趣味はマラソンと山登り。唐揚げやカレーなどのがっつり系の食事が好き。小遣いは月3万円。

仕入先は「取り扱う商品の特性」によって変更する

事業の発展に不可欠な、仕入先や外注先等の協力会社を大切にする経営者は成功します。例えば、焼肉屋を開業するとすれば、希少な肉の部位を安定的に供給してくれる食肉業者が必要不可欠となるし、広告作成サービスだとしたら、安定して仕事を受けてくれる、外注業者やデザイナーの存在が欠かせません。優れた経営者は、こういった協力業者とともに発展する方法を考えます。

 

仕入先の選択にあたっては、準備の早いうちから検討を開始し、最低の仕入ロット、単価、支払条件等を確認するといいでしょう。支払条件は資金繰り上、重要なポイントとなるので、交渉し少しでも有利な契約にすると安心です。

 

仕入先の選定ポイントは、商品によって仕入先を変え、仕入先の強みを捉えることです。例えば、幅広い商品を取り扱っているが、特殊なものは取り扱っていない総合卸や、逆に一部の商品に特化し種類が膨大な専門型卸等があります。自分の取扱商品の特性により仕入先を検討しましょう。

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    本連載は、2016年9月21日刊行の書籍『創業補助金』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性がございますので、あらかじめご了承ください。

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    若狹 清史

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