今回は、銀行による「企業の格付け評価」が出来上がる仕組みを見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

審査部の担当が決算書の数字を入力 → 格付け完了!

自社の格付け(スコアリング)ランクを銀行に聞きなさい!
と、書かせていただきました。
それを受けて、
「わが社の過去5年分のランクを、全部の取引銀行に聞いてみました!」
という、すごい会社がありました。
その内容をお聞きしていると、
改めて、銀行の実態が、見えてきたのです。

 

自社の格付け(スコアリング)を確認した銀行のなかに、
格付けの評価が出来上がる仕組みを、
改めて教えてくれた銀行がありました。

 

「システム的に格付けが決まります。
 審査部で決算書の数字を入力して、決定ボタンを押せば、
 格付けは自動で出来上がります。」

 

いかがでしょうか?
「審査部の人が決算書の数字を入力するだけで、
 格付け(スコアリング)が決まる!」
と、私たちが日々申し上げている、まさにその通りなのです。

 

で、財務資料以外の開示された情報があれば、
それも格付けには反映しています、とのこと。
ただ、財務資料以外の情報で、
格付けに大きく影響があるわけではなく、
全10段階のうち、せいぜい2段階までの、
プラス要素なのです。
この開示情報が、銀行への決算報告時にする、
今後の見通しであったり、
大きな特別損失の内容把握であったり、
決算書の使途不明データの内容確認であったり、
するわけです。

 

今後の返済能力を把握するべく、
経営の先行きや、決算書の内容詳細を、伺いたいのです。

正しく入力してもらえるよう、勘定科目の名目に注意を

いずれにせよ、
格付け(スコアリング)は、決算書を入力して決まるのです。
入力するのは、審査部の入力担当者です。
その方々は、ただ入力し、決定ボタンを押すだけです。
勘定科目の中身など、知ったこっちゃないのです。
だから、入力する方々に正しく入力してもらえるよう、
決算書の勘定科目の名目を、正しておく必要があるのです。

 

例えば、
経営者から借りている借入金は、
単なる「長期借入金」とか「短期借入金」と記載せず、
「経営者借入金」としておいてほしいのです。
「長期借入金」なら、単なる有利子負債扱いとなり、
「経営者借入金」なら、資本性借入金の扱いとなります。
つまり、自己資本の扱いになるのです。
これだけで、格付け決定ボタンを押した後の、
結果が変わってくるのですから。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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