今回は、会社の決算書に高額な「仮払金・貸付金」を残してはいけない理由を見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

決算書に使途不明金があれば、銀行の評価はマイナスに

先般、新著「社長の決算書の見方・読み方・磨き方」を
発売させていただきました。
(出版:日本経営合理化協会)
おかげさまで、好調な出足と好評を得ております。
ありがとうございます。
新刊のタイトルには、
「見られていることを意識した決算書であってほしい」
との願いを込めております。
とにかく、無防備な決算書が多すぎるのです。

 

まず初めに、誰が決算書を見るか、です。
融資を受けているなら当然、その銀行が決算書を見ます。
信用の格付け(スコアリング)をするためです。
その際、使途不明金は、マイナスポイントとなります。
経営指標で点数を算出したあと、
使途不明金のような特殊要因は、減点されるのです。

 

仮払金で億単位の額が決算書に載っているケースを、
何度か目撃しています。
ある会社でのことです。
「1億円の仮払金って、なんですか!」
「それが・・・、会長への仮払金なんです・・・。」
仮払金がまったく精算されず、
積もり積もって1億円を超えていたのです。
過去数年の決算書を見ると、年々増えているのです。
聞くとそのお金は、株式への投資に使われていました。
要は、個人の投資です。
個人の投資に会社のお金を使うだけでも、背任行為です。

年々増える仮払金や貸付金は「使い込み」を疑われる

「税理士はどう言ってるんですか?」
「このままで様子を見ましょう、て言うんです。」
と、これもまた、無責任なのです。
会長におとがめをして、顧問契約を切られたくないから、
そのような態度になるのです。
様子をみたところで、何も変わるはずがないのです。

 

「ちなみに、銀行金利は何%くらいですか?」
「それが高くて、2%台の後半です。3%近いです。」
これ、3年ほど前の話しです。
その時点で2%台後半は、かなり高いです。
結局、額の大きな使途不明金があるため、
格付け(スコアリング)は、かなり悪かったのです。
で、金利も銀行の言いなりになっていたのです。

 

金額が大きい仮払金や貸付金は、それだけで怪しいです。
しかも、それが数年にわたって存在する。
年々増えている、となると、どうみても、
「使い込んでいるな。」と、思われてしまうのです。
この場合、結局、その会長への退職金支給時に、
その仮払金を相殺したのです。

 

銀行は、決算書を見て読んでいるのです。
入力により点数算出されますが、異常値はチェックが入ります。
銀行も、それくらいのノウハウは持っているのです。を
見られていることを意識し、決算書に、
減点対象となるような使途不明金を、残さないでほしいのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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