今回は、メインバンクとの金利交渉で、キャッシュフロー重視の経営方針に転換する旨を銀行に伝える交渉戦略について見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

「他行と違って金利を下げるようなことはしません」

沢井商店(仮)は小売業を営んでいますが、
商売は厳しく、借入金は年商以上に上っています。

 

自己資本比率は10%程度、
貸借対照表の右側は借入金だらけです。
一方左側には、土地と建物です。

 

社外流出を抑えて、
少しでも会社にお金を残さなければ、
いつどうなってもおかしくありません。

 

メインバンクJY銀行への金利交渉ですが、
JY銀行の支店長からは、
「うちは他行と違って金利を下げるようなことはしません」
と言われました。

 

確かに、JY銀行は、地方銀行のランキングでは上位に入り、体力はある銀行です。

「“なぜ、下がらないのですか?”と聞いてください。」

「社長、御社は、売上至上主義と決別し、利益、キャッシュフローを重視する
という方針に転換しています。

 

ですから、たとえこれまでは業績が悪く、
財務体質が悪かったとしても、
これからは必ず良くなっていきます。

 

赤字店舗も閉鎖することを決定しましたし、
社長の報酬も月額400万円から50万円に下げました。
広告宣伝費など、ただやみくもに支出していた経費も見直します。

 

出血を止める処置を施しましたので、
キャッシュフロー(営業利益+減価償却)は、確実にプラスになります。

 

こうしたことをJY銀行に伝えて、
金利を下げてもらうように再度交渉しましょう。

 

そのうえで、どうしても下がらない、ということなら、
“なぜ、下がらないのですか?”と聞いてください。」

 

「なるほど、理論的に説明して、理解してもらうわけですね。
分かりました。やってみましょう。」

 

後日、社長から連絡がありました。

 

「社長、どうでしたか?」

 

「いやぁ、JY銀行さんは、厳しいね~。
あぁやっていっても、わかりました、とはならなかったです。」

 

「どんな交渉内容でしたか?教えてください」

 

「えーっ!!」
内容を聞いて思わず口から出てしまいました。

 

(次回につづきます)

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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