本連載は、株式会社マイエフピーの代表取締役で、家計再生コンサルタント/ファイナンシャルプランナーとして活躍する横山光昭氏の著作、『50歳からの「お金の不安」がなくなる生き方』(大和書房)の中から一部を抜粋し、老後貧乏になる人の「お金の習慣」とは何かを紹介します。

収入アップは期待できず、年金の支給額も減る時代に

「収入が増えない」

「貯金が貯まらない」

「このままでは老後の資金が用意できない」

 

みなさんもこういった不安を持っているのではないでしょうか。

 

こうした悩みや不安を解消してくれるのが、これからお話をする「家計と心のダウンサイジング」です。ダウンサイジングとは、今よりも規模を縮小することです。知らず知らずのうちに広げ過ぎてしまった「家計」という風呂敷を身の丈に合わせて折り畳んでいくことを意味します。

 

かつてのバブル期のように給料が右肩上がりに増えていく時代でしたら、現在の生活を続けていくのもよいでしょう。年齢が上がるとともに収入は上がり、残せるお金も増えていきます。退職金も年金のバックアップも今より充実していました。

 

しかし残念ながら、そのような時代は終わりました。これから先は大幅な収入アップは期待できず、年金の支給額は先細りし、一方で社会保険料や税金の負担は増えるばかりです。将来を不安に思わないほうが不思議なぐらいです。しかし、心配しているだけでは何も解消されません。

 

こんな時代だからこそ、私たちにできることがあります。それが「家計と心のダウンサイジング」です。

「収入-支出」の差分をできるだけ増やし、家計を改善

家計のダウンサイジングとは、これまで収入を目一杯使っていた支出を見直し、「収入-支出」の差分をできるだけ増やすことです。それによって少しでも貯金ができる家計に改善していきます。

 

心のダウンサイジングとは、お金やモノがたくさんあれば幸せという考え方をやめて、物質的な豊かさよりも精神的な豊かさを大事にしていくことです。つまり、「そろそろ身の丈にあった生活をしてみませんか?」という提案です。私のところに相談に来られた方にも、こうしたお話をさせていただくのですが、少し気がかりなことがあります。

 

それは、多くのみなさんが家計のダウンサイジングを軽く考えており、年金生活が始まったとたん、これまでの消費中心の生活スタイルを捨てて、節制した生活にすんなりと移行できると思っていることです。

 

しかし、現実はそれほど甘くはありません。

 

これまで月に40万、50万と使ってきた人が、「はい、今日から年金生活に入りました。夫婦二人合わせて22万円で暮らしてください」と言われて果たしてやっていけるのでしょうか。正直、難しいと思います。

 

いったん染み付いた生活のスタイルは、すぐさま変えられるものではありません。生活スタイルには、薬物のような常習性があるからです。広げ過ぎた風呂敷を畳んでいくには、それなりの努力や我慢が必要ですし、できたとしても一定の期間を要します。

 

どれくらい時間がかかるかは人によりますが、早い人で半年、確実に定着を目指すなら少なくとも1年はかかると思っておいたほうがよいでしょう。

 

また、急な変化は心に大きな負担を与えることがあります。うまく新しい生活になじんだように見えても、そのあとに大きくリバウンドしてしまうこともあります。ダイエットのリバウンドでしたら、体重が増えるだけですみますが、家計のリバウンドは破たんにつながります。

 

家計と心のダウンサイジングには2つの効果が期待できます。ひとつは将来のためのお金が残せるようになること。もうひとつは老後(年金)生活にスムーズに移行していくためのトレーニングになることです。

 

これからの時代はダウンサイジングが一番です。家計と心のダウンサイジングを実行して、将来の新しい生活に備えましょう。

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