社長に必要な「非常識」と「常識」とは何か?

前回は、優秀な人材を集めるために中小企業社長が持つべき心構えについて説明しました。今回は、「社長という人種」にはどういった性格の人が多いのかを踏まえたうえで、社長に求められる「器量」について考えてみます。

非常識な社長が「我慢する器」を持てば鬼に金棒!?

社長という人種は、生まれつきか環境がそうさせたかは定かではありませんが、非常識な方が多いように思います。

 

「オレが、オレが」という我が強く傲慢な方、自分の話ばかりして人の話をまったく聞かない方、周りに人が大勢いるのに、全然気にせず大声でしゃべる方、ゴルフで自分が打ち終わるとさっさと先に行ってしまうせっかちな方。だいたい私がセカンドショットを打とうとすると、もうグリーン上にいたりします(私のほうが、ドライバーが飛ぶため・・・)。そして、ゴルフで負けると本能むき出しで悔しがります。

 

一般のサラリーマンからすると、あの人はまったく常識がない、一緒にいるとこっちが恥ずかしくなる、という人種です。社長の悪口になりましたが、社長というのはこのぐらい基本的に非常識でなければ務まらないと思います。

 

人並み外れた情熱や傲慢さ、狂気、周囲を気にせずに自分の信念を貫くさま、できないと思われることを何としてもやる、というある種の非常識さがなければ、儲けることなど到底できないと思うのです。

 

ただこれだけでは、年商で7〜8億までというのが私の感覚です。この先は、自分は一般の人とは違う「常識」を持っているということをわかっておかないと、「人」がついてこなくなるからです。

 

私の顧問先にもいます。誰よりも大声でしゃべり、事業に対する思いはハンパではなく、非常識を絵に描いたような社長ですが、ある時幹部社員に聞いてみると、「あの人にはついていけませんよ」と。

 

人並み外れた情熱と狂気、異常なまでの信念を持ちながらも、「ああ、自分は世間の人とはちょっと違う常識を持っているんだ」というあたりを認識して、常識的な行動をとれないと、誰もついてくる人がいなくなります。

 

非常識な社長が、我慢する器を持ち合わせたら、鬼に金棒といったところでしょう。

社長の器量が最も端的に現れるのはやはり「非常時」

私の尊敬する社長にY社長がいます。この社長は、いつも社員やその家族を守り、社会に本当に貢献する会社にしたい、と熱く語っており、うちの社員がそんな話を聞いた後は、話に引き込まれて必ず感動して帰ってきます。そうかと思うと、ものすごい剣幕で社員を怒って、時に辞めさせたりもする。

 

別の社長は、営業会議で「君たちの肩にかかっている、必ず目標達成できる!」と営業社員にハッパをかけておいて、会議が終わった後、社長に、「本気で達成できると思っていますか?」と聞いてみると、「もうあの事業はダメだね、それでも今期3000万ぐらいは利益出ると思うから・・・」と。一の矢を外しても、ちゃんとオプションが考えられている。

 

人一倍、人情家でありながらも、ある場面では合理的で情に流されない。人一倍、情熱家でありながらも、激情家ではない。

 

京セラ創業者、JALを再建した稲盛和夫さんは、昔自分の二重人格について相当悩んだそうです。会社に利益を出し続けることの厳しさと、社長が持っている人間愛のようなものが、その場面場面で顔を出しているのだと思います。

 

逆に、社員の前でいいこと、吉報しか言えない社長もいます。社員に厳しかった創業者のトラウマなのか、特に二代目の社長に多いように思います。長く会社をやっていれば、いいことばかりではありません。時には、給料ダウンなんかを告げなければならないことだってあります。こういう非常時に、社長の器量がもっとも端的に現れる。

 

社員に給料をたくさん払えば利益が減る、利益が減れば会社の存続ができない、そんな相矛盾することを成し遂げようとするのが経営だとすれば、右を向いては右といい、左を向いては左という、そのぐらいの多重人格を受け入れる器量を、社長は身につけなければならないと思います。

本連載は、2014年2月27日刊行の書籍『低成長時代に業績を伸ばす社長の条件 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

関根 威

SMC税理士法人 代表社員理事長

1990年明治大学経営学部卒業。同年民間上場企業入社、システムコンサルティングに7年間従事。中小企業に3年間勤務後、税理士法人せきね総合会計事務所(現SMC税理士法人)入社。現在、関与先数社の会計参与(役員)に就任。2007年から経営計画書を中心とした「せきね式未来社長塾」を開催。2012年12月に経営革新等支援機関としての認定を受ける。

著者紹介

連載低成長時代に業績を伸ばす社長の条件

低成長時代に業績を伸ばす社長の条件

低成長時代に業績を伸ばす社長の条件

関根 威

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