前回は、高額療養費制度と高額療養費制度について説明しました。今回は、高額介護合算療養費制度、社会福祉法人の減免制度について見ていきます。

長引く療養等に役立つ…合算高額介護合算療養費制度

■高額介護合算療養費制度

 

世帯内の同一の医療保険(国民健康保険、後期高齢者医療制度など)加入者について、1年間(8月1日から翌年7月31日まで)にかかった医療保険と介護保険の自己負担額の合計金額が一定の基準を超えた場合に、超えた分の金額が支給されます。

 

ただし、高額療養費、および高額介護サービス費の支給を受けることができた場合には、その額は合計金額から除きます。高額療養費や高額介護サービス費の支給を受けてもなお支払いがかさむケースに適用されますが、そういったケースはそれほど多くはありません。それでも父親の要介護度がさらに重くなり、母親のがんが発覚して長期間にわたり多額の治療費がかかった場合など、いざという時のためにぜひ覚えておきたい制度です。

 

[図表1]高額介護合算療養費制度のイメージ

注1 対象世帯に70〜74歳と70歳未満が混在する場合、まず70〜74歳の自己負担合算額に限度額を適用した後、残
る負担額と70歳未満の自己負担合算額を合わせた額に限度額を適用する
注2 介護サービス利用者が世帯内に複数いる場合は31万円
厚生労働省「高額介護合算療養費制度について」より作表
注1 対象世帯に70〜74歳と70歳未満が混在する場合、まず70〜74歳の自己負担合算額に限度額を適用した後、残 る負担額と70歳未満の自己負担合算額を合わせた額に限度額を適用する 注2 介護サービス利用者が世帯内に複数いる場合は31万円 厚生労働省「高額介護合算療養費制度について」より作表

 

なお、70歳未満の医療保険の自己負担額は、医療機関別、医科・歯科別、入院・通院別に2万1000円以上ある場合に合算の対象となり、入院時の食費負担や差額ベッド代は含みません。また、医療保険・介護保険のどちらかの自己負担額が0円の場合は支給されません。

 

まずは該当するかどうか、自治体の窓口に相談してみましょう。該当すれば介護保険の「自己負担額証明書」が発行され、この証明書を健康保険の窓口に提出することで、それぞれの保険から払い戻しを受けることができます。また2年以内ならば過去にさかのぼって支給の申請ができます。

社会福祉法人による負担減額…社会福祉法人の減免制度

■社会福祉法人の減免制度

 

生活保護受給者、および住民税非課税世帯で、世帯収入や預貯金が一定条件にあてはまる人は、社会福祉法人が利用者負担を減額してくれる制度があります。ただし、この制度を実施するかどうかは各施設の判断に委ねられているので、事前に確認が必要です。実施している社会福祉法人は、市区町村の窓口で教えてもらうことができます。

 

対象者の条件は、住民税が非課税で、図表2の①~⑤を満たす人で、本人の収入や世帯状況、利用者負担などを総合的に勘案して、生活が困難であると自治体が認めた人です。

 

[図表2]社会福祉法人の減免制度

法人グループ内の例
法人グループ内の例

 

減額の対象になるのは、医療系サービスを除いた、申し込む先の社会福祉法人・市区町村が行う各種の介護サービスです。適用を受けるには、居住する自治体に申請して「確認証」の交付を受けます。該当の社会福祉法人からサービスを受ける時に、確認証を提示しましょう。

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