税負担を抑えて医療法人から「出資持分」を取り戻す方法

理事長が医療法人の社員という立場のまま、出資持分を払い戻してもらうことは医療法により禁止されています。今回は、その対策を見ていきましょう。

「出資持分の払戻しができない」医療法人の問題とは?

平成19年度以前に設立された医療法人は、株式会社と同様に、出資した金額に対して持分が割り当てられる「持分あり」の医療法人となっています。そして、持分ありの医療法人の出資持分は、非上場会社の株式と同じように、利益が出ればそれに伴い、評価額がどんどん上昇していきます。

 

医療法人では配当を出せないということもあり、利益を継続して計上している医療法人は、出資持分の評価額が拠出時の何倍にもふくれあがっている場合も少なくありません。この持分ありの医療法人から、理事長が自分の出資持分の払い戻しを受けることは可能でしょうか? 

 

まず、理事長が医療法人の社員という立場のまま、出資持分を払い戻してもらうことはできません。株式会社であれば、社長が自分の保有する自社株を会社(法人)に買い取ってもらうことは可能ですが、医療法人の場合は医療法により禁止されているためです。

 

出資持分を直接払い戻してもらいたいのであれば、いったん、医療法人を退社するしかありません。しかし、そうなると社員の地位を失ってしまいます。また、出資持分の払い戻しを受ける際には、当初の拠出額と現在の評価額の差、つまり値上がり分は「みなし配当」とされ、総合課税の対象となります。そのため、最高50%という高い税率が課せられてしまいます。

出資持分をMS法人に譲渡すれば税負担は一律20%

しかし、退社をせずに、税率も抑えながら出資持分を取り戻す方法があります。ポイントとなるのは、やはりMS法人の活用です。持分ありの医療法人からMS法人に対して、理事長の出資持分を譲渡すればよいのです。

 

MS法人など別法人に譲渡した場合、出資持分の値上がり分の譲渡所得については、分離課税で20%の税率が課せられます。たとえば、譲渡所得が2000万円なら400万円の課税となります。みなし配当課税であれば1000万円ですから、払い戻されるお金は大幅に増加します。しかも、譲渡という方法を取れば、医療法人をわざわざいったん退社する必要もありません。

本連載は、2013年2月4日刊行の書籍『戦略的「節税」経営』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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税理士法人K・S・D 代表社員

平成元年、明治大学政治経済学部を卒業、野村證券に入社。同社を退社後、平成6年に税理士事務所に勤務、会計人としてのキャリアをスタートさせる。平成19年、石川県金沢市にて越田税理士事務所を開業。以来、提案型会計事務所を標榜し、節税対策を絡めた自社株対策、相続・事業承継対策、決算対策など、コンサルティング活動を行う。平成23年には個人事務所を税理士法人K・S・Dへと法人組織化、併せて港区北青山に東京事務所を開設する。また、主要都市でのセミナーを精力的に行うなど、全国各地で活動の場を広げている。

著者紹介

戦略的「節税」経営

戦略的「節税」経営

越田 学

幻冬舎メディアコンサルティング

日本の多くの中小企業オーナーが、過大な税負担に悩んでいます。法人では、海外に比べて高い税率の法人税。個人では、金額に応じて税率が上がる所得税。さらに、将来の事業承継を考えたときには、贈与・相続税の問題が重くのし…

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