前回は、PDCAサイクルを阻害する「心理的バリア」を取り除く方法を取り上げました。今回は、顧客満足と従業員満足のどちらを重要視するかという視点から、中小企業の経営課題を見ていきます。

CS(顧客満足)よりもES(従業員満足)のほうが大切

私はいくつかのクライアントで「弓削ジム」を開催しています。どのクライアントも毎月1回限りの開催ですが、マーケティングを中心として、「凝り固まった思考フレーム」をいかに打破するかをテーマに、社内に研修制度を設けてもらっています。

 

こうしたクライアントに共通しているのは、「従業員の本当の幸せとは何か」を真摯に考えていること、その上で、「お客様に喜んでいただくとはどういうことか」を毎日考え続けていることです。

 

私は、この順番が非常に大事だと思っています。CS(Customer Satisfaction:顧客満足)が先か、ES(Employee Satisfaction:従業員満足)が先かという話は昔からよく議論されているもので、「卵が先か、鶏が先か」論の典型ですが、私に言わせれば、ESのほうがはるかに大事です、ということです。

従業員との関係性を築けば「利益」は付いてくる

「この会社の目指す世界をこの仲間と一緒に実現できればどんなに幸せか、ビジョンを共有するこの仲間たちと仕事をすることが楽しくて仕方がない、会社に来ることが楽しくて仕方がない、お客様と接するのが楽しくて仕方ない、お客様の問題に取り組むことが楽しくて仕方ない」と全ての従業員が思う会社を作れれば、間違いなく世の中の生活者はその会社が提供する商品やサービスを選んで買うでしょう。

 

結局、利益は後から付いてきます。「何をしたいかではなく、何をするべきか」という視点で仕事を見ることができる従業員をどれだけ多く作り、その「関係性」を強くできるか。これからの中小企業が真摯に取り組むべき大きな経営課題です。

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    本連載は、2017年5月26日刊行の書籍『「事業再生」の嘘と真実 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    弓削 一幸

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