相続後に発覚・・・生前の父が引き受けていた「連帯保証人」

今回は、生前の父が引き受けていた「連帯保証人」が、相続後にどうなるのかを見ていきます。※本連載は、士業プロフェッショナルネットワーク・アールパートナーズ代表で公認会計士の平林亮子氏の著書、『〈新版〉相続はおそろしい』を一部抜粋し、実際のトラブルをもとにしたフィクションを通じ、不動産の相続トラブルの予防策を見ていきます。

銀行からの書類で判明した、父の500万円の借金

しかし数年後、信じられないような出来事が起きた。佳織のもとに、とある銀行から書類が届いたのだ。中を見ると、500万円の借金があるから返済してほしいといった旨の内容だった。

 

佳織は借金と金額にパニックになり、すぐに良子に連絡した。

 

「しゃ、借金って、私何も知らないのよ」

 

借金が500万円!? 良子は突然の話に動揺した。しかし、自分の動揺が佳織に伝わらないよう、必死に平静を装って返事をした。

 

「わかった。落ち着いて。治樹兄さんにも連絡して、一緒に銀行に行きましょう。書類は捨てないでね」

 

良子はそう佳織に言いながら、自分にも「落ち着け」と言い聞かせた。きっと何かの間違いだ、と。

 

後日、治樹も伴って、書類を送ってきた銀行に行った。小さな応接室に通され、支店長という人が出てきて応対をしてくれた。

 

「あの、これはいったいどういうことでしょうか」

 

治樹がそう切り出すと、支店長は、やっぱりといった顔でうなずいた。

 

「ご存じありませんでしたか。実は、佐藤さんは、ご友人の連帯保証人になられていたのです。今回、ご友人の借金の残額500万円を保証していただかなくてはならない状況になってしまいまして・・・」

 

「れ、連帯保証人!?」

 

佳織は声が裏返り、そのまま言葉を失った。

相続放棄をしていなければ、法律上の地位も相続される

そんな佳織の様子を見ながらも、治樹は冷静に聞き返した。

 

「私たちは、たしかに父からいろいろと相続しました。でも、そもそも保証人であることを相続しなければならないものなのでしょうか?」

 

支店長は静かに答えた。

 

「はい。みなさんが相続放棄をしたのでなければ、そういった法律上の地位も相続されたことになります。実は相続では、こういった目に見えない相続財産の存在が一番怖いんです。就職の保証人になったといったものは相続しないのですが・・・」

 

だから世間ではあんなに「保証人になってはいけない」と言われるんだわ。

 

良子は他人事のようにそんなことを考えた。

 

「お父さん、とても情け深い人だったからね」

 

佳織は複雑な気持ちで、そうポツリとつぶやいた。

 

[図表]相続財産(※1)とは

※1.相続税を計算する際の財産の範囲と、相続する財産の範囲は、厳密には少し異なる。
※1 相続税を計算する際の財産の範囲と、相続する財産の範囲は、厳密には少し異なる
※2 家や土地を借りているという地位も相続する
※3 債務に対する保証人の地位は相続するが、就職時の身元保証といった保証人の地位は相続しない

本連載は、2015年10月30日に新版として刊行された書籍『〈新版〉相続はおそろしい』から抜粋したものです。稀にその後の法律、税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載フィクション事例で学ぶ「相続トラブル」回避術

士業プロフェッショナルネットワーク・アールパートナーズ代表
レオン自動機株式会社(東証1部上場)社外監査役 公認会計士

士業プロフェッショナルネットワーク・アールパートナーズ代表。レオン自動機株式会社(東証1部上場)社外監査役。
起業やプロジェクトのたち上げから、経営全般に至るまであらゆる面において経営者をサポートしている。また、女性プロフェッショナルに関するプロジェクト「SophiaNet」をプロデュース。経営サポートに必要な幅広いネットワークを持つ。2013年には女性会計士チームCPA745をプロデュースし、女性会計士全国ネットワークCPA745Clubの代表を務めるなど公認会計士業界の活性化にも力を入れている。
コンサルティング業務のかたわら、情報番組のコメンテーター、ラジオパーソナリティーを務めるなど、マスコミでも活躍。
上場企業等の社内研修講師、学校、ビジネススクール、各種セミナーやイベントなどで講義、講演、ファシリテーター等も積極的に行っている。
『決算書を楽しもう』(ダイヤモンド社)、『お金が貯まる5つの習慣』『<新版>相続はおそろしい』(幻冬舎新書)『レシートで人生を変える7つの手順』『損しないのはどっち?』(幻冬舎)など、著書は監修も含めると50冊を超える。
1975年千葉県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部地理学科出身。大学3年次在学中に公認会計士試験合格。太田昭和監査法人(現新日本有限責任監査法人)にて国内企業の監査に多数携わった後2000年に25歳で独立。現在にいたる。

アールパートナーズ
http://www.r-cpa.co.jp

平林亮子オフィシャルウェブサイト
http://www.hirabayashi-cpa.com

著者紹介

<新版>相続はおそろしい

<新版>相続はおそろしい

平林 亮子

幻冬舎

「相続」の恐怖が、さらに多くの人を襲う――。2015年1月1日より相続税が大幅に増税。妻と子供二人で夫の財産を相続する場合、税金のかからなかった8000万円というこれまでのラインが、4800万円まで引き下がる。4%しかいなかっ…

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