実家の売却で必要となった、想定外の「手数料・税金」

今回は、実家の売却で必要となった、想定外の「手数料・税金」を見ていきます。※本連載は、士業プロフェッショナルネットワーク・アールパートナーズ代表で公認会計士の平林亮子氏の著書、『〈新版〉相続はおそろしい』を一部抜粋し、実際のトラブルをもとにしたフィクションを通じ、不動産の相続トラブルの予防策を見ていきます。

物件売却の際、購入時の契約書等が必要に…

しかし後日、大きな問題が浮上した。売却にあたり、譲渡所得を計算するために、家を購入したときの金額がわかる資料が必要なのだという。

 

「契約書はありませんか? 家をいくらで建てたのか、土地をいくらで購入したのか、その正確な証拠というか、資料が必要です」

 

そうたずねてくる不動産業者に、

 

「登記済みの権利証はあるんですよ。5000万円くらいだったことは間違いないのですが・・・」

 

と力なく答えた。

 

不動産の書類は、何十年も後になって利用する可能性がある。そのため、権利証のみならず、いくらで購入したのかわかる契約書、不動産取得税の納付書など、不動産に関する支出があったときは、すべてワンセットにして保管しておくことが必要なのだ。

購入時の資料がないばかりに、余計な手間とお金が…

「もしその書類がないとどうなるのですか?」

 

「その書類がない場合、売却額の5パーセントを購入時の値段として計算することになるんです。そうなると、3500万円で売却できるとした場合、とりあえずその他の手数料などは無視するとして・・・」

 

「3500万円からその5パーセントである175万円を差し引いて、譲渡所得は3325万円」

 

「所有期間は、単純承認の場合、被相続人が取得したときから計算します。ところで、今回は、マイホームに関する特例が使える可能性があります。使えるのであれば譲渡所得から3000万円を差し引くことができますよ」

 

ただし、これらの特例はその時々によって変わるため、きちんと税理士に相談すべきだと、不動産業者は付け加えた。

 

「そうなると、325万円に税率を乗じるのですね」

 

「そうなりますね。その税率もマイホームの特例があって、10パーセントとなっています。2037年まではそれに加えて復興特別所得税がかかりますが」

 

つまり、3500万円で売れた場合、そこから約30万円が税金で持っていかれる。

 

そして、500万円は借金の返済。実際には、その他にいろいろな手数料や手間もかかる。手にできるお金は2500万円より少し多いくらいだろう。

 

特例が適用できなければ、手許に残るお金はもっと少ない。

 

購入時の資料が残っていれば、悩むことのなかった税金問題。

 

家というものはつくづくお金のかかるものだ、と勝はため息をついた。

本連載は、2015年10月30日に新版として刊行された書籍『〈新版〉相続はおそろしい』から抜粋したものです。稀にその後の法律、税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載フィクション事例で学ぶ「相続トラブル」回避術

士業プロフェッショナルネットワーク・アールパートナーズ代表
レオン自動機株式会社(東証1部上場)社外監査役 公認会計士

士業プロフェッショナルネットワーク・アールパートナーズ代表。レオン自動機株式会社(東証1部上場)社外監査役。
起業やプロジェクトのたち上げから、経営全般に至るまであらゆる面において経営者をサポートしている。また、女性プロフェッショナルに関するプロジェクト「SophiaNet」をプロデュース。経営サポートに必要な幅広いネットワークを持つ。2013年には女性会計士チームCPA745をプロデュースし、女性会計士全国ネットワークCPA745Clubの代表を務めるなど公認会計士業界の活性化にも力を入れている。
コンサルティング業務のかたわら、情報番組のコメンテーター、ラジオパーソナリティーを務めるなど、マスコミでも活躍。
上場企業等の社内研修講師、学校、ビジネススクール、各種セミナーやイベントなどで講義、講演、ファシリテーター等も積極的に行っている。
『決算書を楽しもう』(ダイヤモンド社)、『お金が貯まる5つの習慣』『<新版>相続はおそろしい』(幻冬舎新書)『レシートで人生を変える7つの手順』『損しないのはどっち?』(幻冬舎)など、著書は監修も含めると50冊を超える。
1975年千葉県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部地理学科出身。大学3年次在学中に公認会計士試験合格。太田昭和監査法人(現新日本有限責任監査法人)にて国内企業の監査に多数携わった後2000年に25歳で独立。現在にいたる。

アールパートナーズ
http://www.r-cpa.co.jp

平林亮子オフィシャルウェブサイト
http://www.hirabayashi-cpa.com

著者紹介

<新版>相続はおそろしい

<新版>相続はおそろしい

平林 亮子

幻冬舎

「相続」の恐怖が、さらに多くの人を襲う――。2015年1月1日より相続税が大幅に増税。妻と子供二人で夫の財産を相続する場合、税金のかからなかった8000万円というこれまでのラインが、4800万円まで引き下がる。4%しかいなかっ…

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