今回は、空き家を放置することで生じる「窃盗リスク」について詳しく説明します。※本連載は、NPO法人空き家サポートセンター理事長で、行政書士を務める水谷秀志氏の著書、『空き家大国ニッポン』(せせらぎ出版)の中から一部を抜粋し、「空き家」にまつわる諸問題や相続対策について探ります。

住宅に対する侵入窃盗は、1日あたり約126件

窃盗犯が家屋等に侵入して窃盗をした件数は、2003(平成15)年以降減少に転じ、2015(平成27)年には8万6373件、前年比マイナス7.7%と13年連続で減少しています。また、このうち住宅を対象とした侵入窃盗も2004(平成16)年以降減少しており、2015(平成27)年は4万6091件と前年比マイナス4.2%と、同じく減少をしています。

 

[図表]侵入窃盗の認知件数の推移

出典:警察庁
出典:警察庁

 

しかしながら、1日あたり約126件もの住宅に対する侵入窃盗が発生しており、まだ多くの住宅が被害にあって治安を脅かされています。

泥棒にとっては捕まるリスクが低い「空き家窃盗」

これから心配になってくるのが、人の目が届かない無防備な空き家への窃盗事案ではないでしょうか。

 

一人暮らしをしていた人が老人ホームなどの施設へ入所したり、不幸にして亡くなった場合には、その人が生活で使用していた電化製品、家具類、洋服などがそのまま残ってしまい窃盗犯の格好の餌食となってしまいます。

 

家族や親せきの人が近所で住んでいる場合には何かと後片付けなどの管理もできますが、近所にいない場合には、いくら門扉や玄関の戸締りをしっかりしていたとしても、無人になった空き家に窃盗犯は容易に侵入してしまいます。

 

住人の居なくなった空き家には、簡単に盗むことができ、価値の高い置物や美術骨董品、ときには現金や貴金属類などが残されており、新聞報道によれば、九州で古い空き家を狙って忍び込み、刀剣や骨董品を専門に盗難していたグループが逮捕されていました。

 

窃盗被害にあって、空き家から何か物がなくなっていても、盗まれたことに気づかないこともあり、泥棒にとっては捕まるリスクが減ることになってしまいます。

 

2014(平成26)年に警察庁が発表した統計資料によると、犯人が「窓」から侵入したとされる空き巣被害は63.6%となり、次いで「出入り口」が36.4%となっていることから、まず窓の防犯対策を見直すことが大切になります。

 

防犯関連の資料を見てみると、空き巣犯が窓からの侵入に5分以上かかった場合、8割近くは犯行を諦めるという結果が出ています。したがって、空き巣犯の侵入時間を長引かせるように、窓に補助錠などを取り付けて防犯対策を強化することが有効になります。

 

また、「空き家巡回サービス」と呼ばれるサービスもありますが、原則として空き家に荷物や貴重品を置かないことです。

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