写真:GTACスタッフ

スリランカで誕生したタクシー・アプリの「PickMe」は拡大を続け、いまや台数規模でスリランカの業界第一位を狙う状況です。ベンチャー市場における企業評価額も上昇しており、モデルとした「Uber」のような勢いを感じさせます。スリランカのシェアリング・エコノミーについてお伝えしている連載の最終回です。

タクシー会社として「スリランカ最大規模」を伺う勢い

コロンボのタクシー会社は、車を数台しか保有していない小規模な会社もある。PickMeはこれらの車も自身のネットワークに取り込んでいきたいと考えている。

 

PickMeのプラットフォームには現在、トゥクトゥクの個人ドライバーに加え、小規模なタクシー会社も16社が参加しており、登録車の総数は2000台である。この規模はスリランカでは2番目に大きい勢力だ。最大ネットワークを抱えるのは、主に小型自動車とトゥクトゥクを管理するSonitだが、Zulfer氏によれば、そのSonitからも少しずつPickMeに流れ込んでいるという。そしてPickMeへの登録希望者は対応できないほど数多い。

 

規模拡大と同時に更なるシステム改良も考えられる。現在、タクシー料金は深夜に割増される以外は一律だ。タクシー・アプリによって将来は、乗客のリクエスト、渋滞状況、あるいはドライバーが得た評価に応じて、料金に傾斜を付けることができるだろう。

 

このような料金システムが実現すれば、本業の終業後や週末などを利用して週に数時間だけ運転したいパートタイムのドライバーをより多く取り込むことが出来るだろう。ニーズと比例させて料金帯を調整できるため、料金をより高く設定してラッシュアワー時にだけ働くという選択肢も生まれる。

半年間で5.5倍に拡大した企業評価額

PickMe開始から僅か3ヶ月後の2015年9月、資金調達の第2ラウンドでPickMeは7億5000万スリランカ・ルピー(以下、Rs)の評価額で、1億5000万ルピーを集めた。2015年2月の第1ラウンド時の企業評価額は1億3300万Rsだったので、約半年のあいだに企業価値を5 .5倍も高めたことになる。スタートアップ企業として絶好のスタートを切ったといえる。モデルとしているUberも2014年6月に170億ドルの評価額で12億ドルを調達しており、その一年後には、評価額を500億ドルまで上昇させている。

 

「私達は、適切な投資家に関わってもらえるよう慎重です。なぜなら、私達が求めているのは資金だけではなく、その投資家が持つ能力にも期待しているからです」とZulfer氏は説明する。出資者のひとつInterblocks社には、アプリに決済機能を導入するノウハウを期待しているという。

 

PickMeでは調達できた資金の多くを、60人のチームメンバーに関連する人件コストに充てている。そして彼らの半分以上はアプリに更なる機能の導入を試みるエンジニアたちだ。彼らの努力により、スリランカのシェアリング・エコノミーがさらに発展することが期待できるだろう。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「Sharing Economy – Sharing economy firm gets Rs750 million valuation three months after launch」を、翻訳・編集したものです。

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