付加価値がなければ上がらない地価 不動産加工の役割とは?

今回は、不動産の「加工」がなかったがゆえに、地価が上がらなかった地方の駅前の事例を見ていきます。※本連載では、2級建築士・宅地建物取引主任者の齊藤正志氏の著書、『不動産を「加工」する技術』(現代書林)より一部を抜粋し、不動産を有効活用し、次の世代へも継承できる財産を作る「不動産加工」について解説していきます。

新花巻駅周辺の開発が進まない理由

仕事の関係で私は、月に1度ぐらいは新幹線で盛岡から上京します。

 

そのたびに新花巻駅を通過します。この新花巻駅の周辺を車窓から観察してみると、不動産開発をしなければ、不動産の価値も上がらないことがよく分かります。

 

実は新花巻駅は、市の中心街から5キロぐらい離れていて、新花巻駅周辺の開発はほとんど行われていません。

 

駅ができた1985年当時の面影が、ほぼそのまま残っています。

 

もちろんホテルなどは建っていません。そこでこの駅で下車した人は、タクシーやバスで市の中心街へ出てしまうのです。

 

この地区が商業開発されない大きな理由は、駅周辺の土地が、投資家によって買い占められているからにほかなりません。

 

投資家が土地を買い占めた理由は、商業開発するためではなく、新花巻駅の開通によって自然に地価が値上がりし、転売により莫大な富を得られると考えたからでしょう。バブルの時代ですから、そういう発想をもつ人が多かったわけです。

 

しかし、地価というものは、付加価値がなければ上がりません。地価そのものが外的な条件とは無関係に上がったり下がったりすることはないのです。花壇を手入れしなければ、花が咲かないのと同じ原理です。放置しておいて、価値だけが上がっていくと考えるのは誤りです。価値が高まる背景には、かならずそれに付加価値が加わっているのです。

せっかくの土地が「宝の持ち腐れ」に・・・

新花巻駅前のケースにしても、商業施設やビジネス施設などを開発することで、はじめて集客力が増し、ビジネスが成立し、それに伴い地価も上がるのです。不動産とは、そういう生きた性質のものなのです。

 

その不動産の価値を高めるために加工を加えるプロセス。それが不動産加工にほかなりません。駅周辺の土地を買い占めた投資家たちは、そのためのノウハウを知らないから、土地などの有効利用ができないのかもしれません。街をつくるという考えでなく土地の値上がりを求める利益主義から、土地が宝の持ち腐れとなっているのでしょう。

 

魚の調理法がいろいろあるように、不動産運用の方法もいろいろありますが、ほとんど知られていないのが実態です。

 

不動産の「加工」を行う際には、目的をはっきりした上で最もかしこい方法を選びたいものです。

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連載土地の価値を高めるための「不動産加工」術

2級建築士
宅地建物取引主任者

北海道生まれ、岩手県盛岡市在住。
積水ハウス株式会社にて設計業務5年、営業35年の計40年勤務。累計販売棟数570棟。積水ハウス在籍時、「自分年金」の言葉とコンセプトを自ら作り、土地活用についてのセミナーを多数行う。
2006年に株式会社サムコーポレーションを設立。
現在は不動産活用プロデューサーとして、自分年金・定期借地権を活用した企画や、介護事業者とのマッチング、コンサルティング業務などを手がける。
また、自らアパートや介護施設のオーナーでもあり、豊富な経験談と実例を交えた講演会は、一般・業界向け問わず好評を博している。
著書には『自分流「自分年金」の実践法』(文芸社)がある。

著者紹介

不動産を 「加工」する技術

不動産を 「加工」する技術

齋藤 正志

現代書林

著者は積水ハウスに入社し、「自分年金」という言葉を考案しました。 そして、「自分年金」をつくる方法としてアパート経営を推奨し、40年間で570棟のアパートを販売したという実績があります。 その後に独立し、いまは不動産…

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