前回に引き続き、「コンパクトアパート」の売買契約の流れを見ていきます。今回は、手付金の扱いから、決済・引き渡しまでの手順を紹介します。

契約時に渡す「手付金」は代金の5%が目安

〈手付金〉

売買契約書に署名・捺印すると同時に、手付金を買主から売主に渡します。手付金の額は建物が完成済みか未完成かによっても変わりますが、代金の5%がひとつの目安です。これは決済(残代金の支払いと物件引き渡し)の際、売買代金の一部として充当されます。

 

また、手付金は「解約手付」とされます。これは、買主からは手付金放棄、売主からは手付金の倍返しによって、その他のペナルティなしで売買契約を白紙撤回できるという意味があります。

 

ただし、手付金放棄(買主側から)または手付金倍返し(売主側から)で白紙解約できるのは、相手側が「契約の履行」に着手する前とされており、それ以後は違約金が発生することもあるので注意が必要です。

 

「契約の履行」とは、売主側においては所有権の移転登記の手続きを行うこと、買主側についてはローンの借り入れを行うことなどです。

 

〈ローン条項〉

売買契約の解約に関連して、もうひとつ重要なのが「ローン条項」です。

 

これは、買主側が予定していたローンが一定期間内に借りられなかった場合、売買契約をペナルティなしで白紙解約できるというものです。

 

買主側にとっては大変重要な条項であり、必ず事前に確認しておく必要があります。

決済・引き渡しの際に行われる「同時決済」とは?

〈決済・引き渡し〉

契約書で定めた決済の期日になれば、買主は手付金以外の残りの代金を支払うとともに、売主から物件の鍵を受け取ります。また、所有権移転やローンの抵当権設定に関する登記を行うため、司法書士に委任状などを渡します。

 

こうした手続きを「同時決済」といい、一般的には次のような手順で行います。

 

まず、売主、買主のほか、売買の仲介会社、買主にローンを貸す銀行、登記手続きを一括して代行する司法書士が同じ場所に集まります。売買の仲介を行う不動産会社やローンを貸す銀行の支店、ローンセンターなどが多いようです。

 

その場で、買主から売主にローンの分を除いた残代金が支払われます。それと引き換えに、売主から買主に物件の鍵が引き渡されます。

 

続いて、物件の所有権移転登記、ローンの借り入れにともなう抵当権設定登記に必要な登記識別情報、委任状などが司法書士に渡されます。

 

司法書士は銀行が指定することが多く、登記に必要な書類が司法書士に渡されたのを確認し、ローンを実行します。具体的にはその銀行に買主が開設した口座にいったん振り込み、そこから売主の指定口座に送金します。

 

司法書士は通常、その日のうちに登記所へ行って登記手続きをすべて済ませます。そして後日、登記が予定通り行われたことを示すため、「登記事項証明書」を買主などに送付します。

「コンパクトアパート」ではじめる超ローリスク不動産投資

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山上 晶則

幻冬舎メディアコンサルティング

2016年3月に不動産調査会社「タス」が行った調査によると、首都圏賃貸アパートが「空室率30%超」となっています。今後もさらに日本の人口減少は続き、その一方で貸家着工数は増え続けているため、多くの不動産オーナーが空室…

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