東京で根強い需要があり、高い投資効率を期待できる「コンパクトアパート」。本連載では、コンパクトアパート経営における維持費用や税金などの支出を網羅した、手残りを最大化するための収支計画を紹介します。

10年後、20年後の「お金の流れ」を見通すことが大切

「コンパクトアパート」による賃貸住宅経営を始めるにあたっては、収支計画を立ててみることが不可欠です。

 

「収支計画」とは、アパートの経営を始めた後、お金の流れがどうなるか、なりそうかを表形式にまとめたものです。

 

大きくは、「収入」と「支出」に分かれ、その差が「収益」となります。単純に言えば、年間の支出より収入が多ければ利益が出ており黒字、収入より支出が多ければ赤字、となります。

 

「収入」には、家賃や共益費、礼金、契約更新時の更新料などがあります。駐車場付きの物件なら駐車場料金も入るでしょう。

 

ただし、敷金については、入居者から預かっているお金(預かり金)で、いずれ入居者が退去するときには返却しなければなりません。そのため、「収入」の中には通常、入れません。

 

一方、「支出」にはローンの金利と元金の返済額、共用部の水道光熱費、建物や設備の修繕費、火災保険や地震保険の保険料、通信費などの諸経費、そして税金があります。

 

[図表1]収支計画の内訳

収支計画では、こうした収入と支出の各項目について、10年後、20年後くらいまで、それぞれの金額がどのようになりそうかをシミュレーションします。

 

一般的に、新築から10年間くらいは、建物や設備もまだ新しく、競争力があります。そのため賃料の値下がりは少なく、空室になっても比較的短期間で埋まるので空室率も低めで構いません。さらに建物や設備の大掛かりな補修も少なく、収支は黒字基調で、手元に資金が残りやすいといえるでしょう。

 

10年を過ぎると次第に競争力が落ちてきます。賃料の値下げが必要になったり、空室の期間が長くなって空室率は上昇します。また、建物や設備の補修などの費用もかかってきます。しかし、「コンパクトアパート」についてはすでに述べてきたように、一般のアパートよりも1住戸当たりの設定家賃が安いので、たとえ競争力が落ちても痛手は少なくてすみます。

収支計画に大きな影響を与える「ローン金利」

将来の見通しでもうひとつ重要なのが、ローンの金利がどうなるかです。ローンには、借りた当初の金利がずっとそのままの「固定金利型」と、その時々の市場金利に合わせて金利を見直していく「変動金利型」があります。

 

アパート向けのローンは一般に変動金利型のケースが多いので、金利の変動も収支計画では重要です。

 

このように家賃、空室率、建物や設備のメンテナンス費用、そしてローン金利の変化などをどう見るかでシミュレーションの数字は変わってきます。

 

当初は現状をもとにある程度、確かなところを想定できますが、問題は10年後、20年後にどうなるかということです。

 

これについてはひとつのシナリオだけでなく、いくつか前提条件を変えながら、何通りかの収支計画をつくってみましょう。そのことによって、賃貸住宅経営における将来のリスクが浮かび上がり、どのように対応すればいいのか検討するきっかけになります。

 

[図表2]年間収支の計算例

 

[図表3]税引き前キャッシュフロー(CF)のシミュレーション例

※家賃収入は5年ごとに5%下落、稼働率は90%、ローンは年利1%・30年返済、募集広告料、修繕費は含まない条件で試算
※家賃収入は5年ごとに5%下落、稼働率は90%、ローンは年利1%・30年返済、募集広告料、修繕費は含まない条件で試算

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