前回は、外国人観光客への「心のこもったおもてなし」として、挨拶がもつ重要性を考察しました。今回は、外国人対応で意識したい「ローコンテクスト・カルチャー」について説明します。

「阿吽の呼吸」の真逆となるコミュニケーション文化

ローコンテクスト・カルチャーはあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、日本人が意識しなければならないもの。その対極にあるのがハイコンテクスト・カルチャーです。

 

コンテクストとは「言語、共通認識/価値観」のことで、ハイコンテクスト・カルチャーであれば、お互いに伝える努力を特に講じなくても、何となく理解し合えることを意味します。言葉そのものよりも、言外の意味を重要視する姿勢があるのです。

 

「阿吽(あうん)の呼吸」が成立するのが、このハイコンテクスト・カルチャー。まさに日本のコミュニケーションの主流と言っていいかもしれません。このハイコンテクスト・カルチャーが成立するのはお互いに文化的なバックグラウンドが共通し、言外の意味を理解し合えることが前提となります。

 

反対にアメリカをはじめとする多くの国々は、共通の文化背景や共通の価値観よりも、明確な言語を媒体としたコミュニケーションを図ろうとするローコンテクスト・カルチャーの国です。

外国人観光客に「察する」ことを期待するのは無謀

さまざまな外国からのお客様に対してハイコンテクスト・カルチャーで対応するのは「黙っていても、相手はきっと理解してくれるはず。いや、もうすでにわかっているに違いない。だから細かい説明なんて必要ないよね」という、まさに「阿吽の呼吸」を相手に求めることになります。これは残念ながら、勝手な思い込みにすぎません。

 

ちょっと困った行為をしているお客様。さっそくスタッフが向かいます。「お客様、ここでは、ご遠慮願っているのですが・・・」。日本人であれば、この語尾からこの言葉のもつ意味を理解します。すなわち、日本人の言葉の「・・・」にこそ重要な意味があるということになります。つまり「ここではおやめください」ということを言いたいわけです。

 

しかし、まったく日本と違う文化で育った人に「・・・」から相手の思いを察しろ、わかってくれと言うのはあまりに無理なことです。相手が理解できるはずもありません。この部分をしっかり言わなければ、相手に対してもかえって失礼になります。

 

直接的でわかりやすい言葉でコミュニケーションを図ることは決して失礼なことではなく、コミュニケーションを誤解なく進める方策なのです。

 

どうしてもハイコンテクスト・カルチャーの癖が抜けず、明確な言葉を使って自然に会話を進めることができないと感じるのであれば、ローコンテクスト・カルチャーをまず意識することから始めましょう。

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村田 志乃

幻冬舎メディアコンサルティング

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