自社の客観的評価を事業承継に活かす「SWOT分析」の手法

前回は、事業承継をスムーズにする「タイミング」の掴み方を解説しました。今回は、事業承継にも役立つ、自社の客観的評価する「SWOT分析」について見ていきます。

まずは「経営における脅威」を検証する

〈SWOT分析〉

 

SWOT分析とは、会社の内部環境の強み(Strengths)、内部環境の弱み(Weaknesses)、外部環境で今後の可能性やチャンスを示す機会(Opportunities)、外部環境で今後のリスクや厳しい状況を示す脅威(Threats)という4つの要素から現状を分析したものです。

 

まず、自社の経営における脅威が何かを考えます。商圏内の人口が減少したり、高齢化したりすることで自社にとってマイナスの影響があれば脅威といえるかもしれません。ただし、この外部環境は自社でコントロールできないので、嘆いても仕方ありません。そのため、あまり時間をかけずに自社にマイナスの影響を及ぼすであろう政治情勢、社会情勢や流行、技術を書き出します。

 

次に、自社でコントロールできない外部環境のうち、自社にとってプラスとなるもの、チャンスを検討します。高齢化は脅威ととらえることもできますが、健康に対する意識の向上に伴い、こだわった食事やエクササイズに対する需要は高まります。少子化は子どもの絶対数は減少しますが、教育に対する投資熱は高まります。自社の置かれた業界が斜陽産業だとしても、競合他社も同じような状況なので、切り口を変えることで他社と差別化を図る機会とすることもできます。もちろん、できもしないことも含めてなんでも機会ということはできませんので、現在のノウハウや経験等をもってして、少し背伸びして努力すれば実現可能なものは、すべて機会ととらえることが可能です。そのような機会のうち、会社として取り組みたいことを書き出しましょう。

「内部環境」の弱みと強みを洗い出す

続いて、内部環境の弱みを考えます。内部環境を考えるときは、適切なライバル企業の設定と比較が重要です。例えば、同じアパレルの小売りでも、商店街のブティックとユニクロではライバルとして適当とはいえません。全国規模で店舗展開するチェーンと、地域に根差した商店とでは、ビジネスモデルも目的も異なるからです。そのため、自社が勝ちたい、上回りたいと思うライバル企業と比較して、弱みとなる経営資源(人材や設備、資金、営業活動、広告、技術など)は何かを考えます。

 

最後に、内部環境の強みです。こちらも自社のライバル企業と比較したうえで、強みとなる経営資源は何かと考えます。業歴が長ければ、取引先や地域における知名度は強みとなり得るし、勤務年数の長い従業員も貴重なノウハウを持っているため、強みとなり得ます。会社が顧客からどのように思われているかというブランドイメージも強みとなり得ます。考え方のヒントとしては、顧客が数ある商品・サービスの中から、なぜ自社の商品・サービスを選んでいるのか、その理由を考えることです。この強みは時間をかけて、数多く書き出しましょう。

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連載オーナー社長による「計画的な後継者育成」のノウハウ

久保公認会計士事務所 代表

2006年、公認会計士試験に合格し、あずさ監査法人(現:有限責任あずさ監査法人)に入所。2011年に退職、経営コンサルティング会社を起業し、税理士法人の経営にも参画。東日本大震災時の中小企業再生支援で後継者育成の重要性に気づき、事業を後継者育成に特化。「3つの資格(公認会計士・税理士・中小企業診断士)」で会計戦略・財務戦略・経営戦略の面から育成支援を行う。

著者紹介

オーナー社長の後継者育成読本

オーナー社長の後継者育成読本

久保 道晴

幻冬舎メディアコンサルティング

経営者の高齢化が進む中で、後継者不在に悩む企業が増えています。 適任者が見当たらない、子どもに継ぐ意思がないなどの理由で次期社長の目途が立たず、やむなく廃業を選択する経営者も少なくありません。 本書はこうした悩…

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