後継者育成と事業承継を成功に導く「タイムスケジュール」

前回は、中小企業の「計画的な後継者選び」に欠かせない要素について解説しました。今回は、後継者育成と事業承継を成功させる「タイムスケジュール」について見ていきます。

「いつまでに承継するか」をあらかじめ決めておく

本連載では後継者選びの基準について解説してきました。後継者を選ぶのは、単に事業を引き継ぐためではなく、早くから次期社長として育成して、事業承継に備えるためです。当然ながら育成には時間を要するので、「誰に」承継するかと同等あるいはそれ以上に、「いつまでに」承継するかをあらかじめ決めておくことが重要です。

 

例えば10年後までに事業承継を完了させる計画であれば、十分な育成と準備が可能です。株式の保有割合を調整したり、社内の各部署で後継者に仕事を経験させたり、社外研修や他社での修業をさせたり、様々な役職を経験させたりなど、あらゆる準備ができます。親子承継でも親族承継でも、たたき上げ承継でも社外承継でも、計画的に事業承継を完了することができるでしょう。

 

期限を決めてから後継者を選び、後継者と期限を共有

しかし、誰にも事業承継の意思を伝えないまま時が流れ、いよいよ現社長がリタイアしたいときに子に伝えるような状況では、誰に承継してもうまく進みません。例えば、子に承諾してもらえなかったとしたら、親族承継やたたき上げ承継、社外承継に切り替えたとしても、適任者はそう簡単には見つからないでしょう。当然、育成する時間的余裕もなく、後継者不在となり、最悪の場合は廃業・倒産せざるを得なくなります。

 

また、現社長がすでに70歳以上だとすれば、今から10年間も事業承継に時間を割けないかもしれません。あと3年ないし5年以内に事業承継したいとなれば、ゆっくりと後継者を探し、育てる時間はないでしょう。速やかに後継者候補に事業承継の意思を確認し、通常業務と並行して後継者育成に取り組まなければなりません。もし1年以内に事業承継したいとなれば、後継者も会社経営の1年間の流れを一度しか経験できず、十分な準備は難しくなってしまいます。引き継ぎ期間が短くなるにつれて、後継者候補となる対象も減っていきます。

 

いつまでに事業承継をするか期限を決めてから、後継者を選び、その期限を後継者との間で共有することが、着実な後継者育成と事業承継には不可欠です。

 

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連載オーナー社長による「計画的な後継者育成」のノウハウ

久保公認会計士事務所 代表

2006年、公認会計士試験に合格し、あずさ監査法人(現:有限責任あずさ監査法人)に入所。2011年に退職、経営コンサルティング会社を起業し、税理士法人の経営にも参画。東日本大震災時の中小企業再生支援で後継者育成の重要性に気づき、事業を後継者育成に特化。「3つの資格(公認会計士・税理士・中小企業診断士)」で会計戦略・財務戦略・経営戦略の面から育成支援を行う。

著者紹介

オーナー社長の後継者育成読本

オーナー社長の後継者育成読本

久保 道晴

幻冬舎メディアコンサルティング

経営者の高齢化が進む中で、後継者不在に悩む企業が増えています。 適任者が見当たらない、子どもに継ぐ意思がないなどの理由で次期社長の目途が立たず、やむなく廃業を選択する経営者も少なくありません。 本書はこうした悩…

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