前回は、新人の離職率が高いパチンコホールを変えた「人材教育」について取り上げました。今回は、パチンコホールの効率的な人材育成を実現する「科学的管理法」を見ていきます。

スタッフの質の低下で、既存客が離れてしまい・・・

前回の続きです。

 

人材が絶対的に足りていないC店では、日々トラブルが連発するようになりました。清掃がいい加減でトイレは汚れたまま放置され、遊技客の呼び出しに対する反応も遅く、ドル箱の持ち主を間違えるといった大きなミスも見受けられるようになったのです。

 

まともに業務を教わる機会がなく、パチンコホールの仕事はもちろん、接客の基本も知らないままでスタッフをホールに出すため、トラブルが起きるのは当然予想できることでした。営業部長も店長もリスクは承知していましたが、人手がないため教育を施すこともできず、「閉めるよりまし」と、いわば無理やり営業していたのです。

 

ところがあまりにスタッフの質が低下した結果、パチンコを楽しめないことに嫌気が差した既存客が離れていってしまいました。それまでC店に定着していた人たちが他のホールに流れてしまい、稼働が大きく落ち込むこととなったのです。

 

C店ではようやく人材教育の大切さに気付いたものの、スタッフの質は自力では改善不可能な状態にまで悪化していました。

職場を効率化する「5つのカギ」とは?

解決策:テイラーの科学的管理法でスタッフを短期育成する

 

人材不足が慢性化しているC店では教育にかけられる時間が圧倒的に少なく、未熟なスタッフをホールに投入していました。もともと労働力が少ない地方都市郊外で人手不足を一気に解消するのは困難なので、対策としては「いかに短時間で一定レベルまで育てるか」がポイントです。

 

人材教育については世界的に有名なアメリカの研究者フレデリック・テイラーが提唱した「科学的管理法」の知識が役立ちます。テイラーはそれまで経験則で動いていた職場を数字で管理する手法を確立した人物であり、現在では世界中の工場などで彼の作り上げた科学的管理法が活用されています。

 

科学的管理法では次の5点が職場を効率化するカギと考えられます。

 

①適材適所の配置

②訓練や業務のマニュアル化

③マニュアルに従わない従業員の解雇

④管理者の仕事は生産性の管理と従業員の評価に限定する

⑤職務の内容を明確に分別する

 

C店ではこの考えに基づいてホール改革を進めました。「スタッフの能力と適性を見極めて最適な仕事をさせる」「主任や班長向けマニュアル、新人向けマニュアルなどを作成する」「店長の職務範囲を明確化する」など、職場の効率化を進めることで人材不足の弊害を軽減したのです。

 

新人も仕事の内容が限定されていれば、必要業務を短期間で覚え、あまり失敗することなく働くことができます。教育についても誰がどのように行うのかマニュアル化されているので、効率的に同等の能力を持つスタッフを育てることが可能になります。

 

遊技客とのトラブルも減り、C店では稼働の減少にブレーキをかけることができました。

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