前回は、パチンコホールとして集客を仕掛ける「タイミング」の決め方を取り上げました。今回は、パチンコホールの死活問題となる「人材不足」への対処法を見ていきます。

人件費の削減が「離職率」を上げる要因に

株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所が2016年に行った「第65回パチンコ景気動向指数(DI)調査報告書」によると、「経営上の課題」としてもっとも多くの中規模事業者があげているのは「人手不足・人材確保(57.1%)」です。2番目に多い回答も「人材育成・教育(42.9%)」となっており、人材の問題がいかに深刻であるかがうかがえます。中小企業では質の高い人材を採用することが難しく、採用できても離職率の高さという問題があります。

 

これまでパチンコホールは、一般的に他の業種より高めに給料を設定することで人材の確保を図ってきました。ところがホールの収益が悪化すると人件費を削らざるを得なくなり、アルバイト等の人数を抑えるようになります。すると、一般社員の仕事量が増え、残業が増加することで離職率が高まり、人材難が悪化するという悪循環に陥ります。

 

目端が利いて戦力になる人材ほど、そんなホールの状況を敏感に読み取るものです。「このホールには未来がない」と見限られてしまい、貴重な人材が失われていくのです。

既存の人材の育成で「人材不足」を乗り切る

<CASE3>スタッフ教育で稼働を上げ売上を伸ばした地方郊外施設併設のC店

 

[図表]C店のプロフィール

 

人材不足はジリ貧ホールにとって資金不足と並ぶ大きな悩みごとです。近年は少子高齢化の影響を受けて、パチンコホールだけでなく多くの業界が「人が足りない!」と悲鳴を上げています。「人材不足倒産」が現実化しており、ジリ貧ホールにとっては死活問題となりつつあるのです。

 

会社は人で成り立っています。特にパチンコホールは店長や営業部員など管理系の人材と、ホールで接客する人材がプロフェッショナルとしてしっかり仕事をしているかどうかで営業効率や集客がまったく違ってきます。

 

大手ホールのように新卒で伸びしろの大きい人材を採用することは困難ですが、ジリ貧ホールにも「既存の人材をしっかり育てる」という手段が残されています。次回から、理論立てた育成で人材不足を乗り切ったC店を例に、具体的な問題解決の手法を紹介します。

 

全国的な少子高齢化により人材不足が叫ばれていますが、特に地方ではその傾向が強く、若い働き手が取り合いになっている地域も少なくありません。

 

地方都市郊外の大型ショッピング施設に併設されているC店は、店長もまだ経験が浅い上、管理する営業部長もルーズな性格でトラブルが多く、競合ホールに遊技客を奪われるケースが目立つようになっていました。

 

ホールスタッフも接客意識が低く覇気がありません。数年前、近郊に大型ホールが進出してきたこともあり、地域の遊技客も、サービス業としての意識を持つキビキビとした接客を当然と見なすようになってきました。

 

C店は、もともとショッピング施設に併設されているホールなので平日もある程度の集客があり、本社も危機感を持っていませんでした。人材の重要性や育て方を誰も意識しない中、スタッフの質がジワジワと低下し、稼働に影響するようになっていたのです。

ジリ貧パチンコホール復活プロジェクト

ジリ貧パチンコホール復活プロジェクト

林 秀樹

幻冬舎メディアコンサルティング

かつての勢いが衰えつつあるパチンコ業界では、着々と成長を続ける大手ホールとジリ貧必至の中小ホールの格差が進んでいます。しかし、「大手は資金力があるから…」とあきらめてはいけません。一番の違いは、資金力ではなく実…

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