前回は、タブレットPCの導入で「営業マンの能力差」を減らせる理由を説明しました。今回は、対話型システムで「顧客のデータ収集」が容易になった事例を紹介します。

多項目の聞き取り調査に有効な「ドラッグチャート」

対話型システムでは、タブレット端末を現場で使うことを前提にしたコンテンツを揃えておくべきです。これまでの連載で、タブレットで自由に加工できる進行スケジュール表の話をしましたが、次に紹介するドラッグチャートもそんなコンテンツのうちのひとつです。

 

営業担当が一生懸命説明しながら、同時にその中身を記録するのは大変です。ICレコーダーでいちいち録音するわけにもいかず、したとしても聞き返すのに話をしたのと同じ時間がかかってしまいます。タブレット端末で訪問先でどんなことをしたかコンテンツ閲覧ログが残るといっても、会話のやりとりの細部まですべて記録されるわけではありません。

 

ドラッグチャートは、タブレットの上でマークを指でドラッグして使用します(以下の図表参照)。ある質問に対してどう思いますかと回答してもらうときに、言葉ではなく、これはこのへんかなと感覚値で答えてもらうことができるので、特に多項目にわたる聞き取り調査などに向いています。話をするのは面倒だというドクターにも案外応じてもらえます。

 

[図表]ドラッグチャート

情報を瞬時に集計し、マーケティング利用が容易に

これを使って実際に医師に調査をしたことがあります。対象となった数万人分の医師の考えに関するデータが得られました。MRは医師との対話に集中しながら、医師の思考の結果をこのコンテンツが自動的に記録してくれました。

 

以前はMRが持ち運べるホワイトボードとカラーマグネットを持ってきて、同じように聞き取り調査をしていました。

 

それがデジタル化されたことで対話しながら記録する手間がなくなり、医師の回答に応じて次の質問項目や提示内容を適切に変えることもできるようになりました。より短時間で密度の濃いコミュニケーションができるようになり、さらに本社でも集まった情報を瞬時に集計してマーケティングに利用することができるようになります。

 

まさにタッチパネルならではのデジタルツールですが、こうした対話に日頃からお付き合いいただけるような医師から信頼されるMRでいるために、有益な情報を正しく提供するためのデジタルツールです。優秀な営業担当者でも項目を漏らさず完璧に聞くことが常にできるわけではありません。

 

しかし、デジタルの上では条件により必要項目を提示するようにしてあれば、漏らさずに聞くことができるコンテンツを用意しておくことができます。営業担当にとっては有益なコンテンツということがいえます。

本連載は、2016年12月13日刊行の書籍『最強営業部隊をつくるタブレットPC活用戦略』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

最強営業部隊をつくるタブレットPC活用戦略

最強営業部隊をつくるタブレットPC活用戦略

関根 潔

幻冬舎メディアコンサルティング

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