前回は、入居者が負担すべき「退去負担金」の回収法などについて解説しました。今回は、アパートオーナーとして活用したい保険の種類や、入居者の「孤独死」に対する備え方などを見ていきます。

火災、地震保険に加え、施設賠償責任保険も加入を検討

今回は、アパートオーナーとして入るべき保険について見ていきましょう。保険も、万が一の際の備え(リスクマネジメント)です。

 

まず、火災保険に加入するのは当然であると言えます。火災というリスクはどの物件にもあるものです。先日、当社の管理物件で火災が発生し、消防車7台が出動する大きな火事になりましたが、火災保険に入っていたために約2100万円の補修費を捻出できた事例がありました。

 

次に、地震保険も大事です。これは、地震による建物倒壊の際に、火災保険の保険金額の半額までが補償されるものです。地震の起きるエリアと、起きそうにないエリアとがあるものの、基本的には加入したほうが安全ですし安心です。

 

また地震による津波被害に対しても補償されます。実際、平成23年には東日本大震災が発生していますし、現在のわが国は非常に地震が起きやすい状況にありますから、ご納得いただけると思います。

 

そしてもう一つ、施設賠償責任保険も入るべきでしょう。これは、例えば強風時に、アパートの看板が落ちて下を歩いている入居者が怪我をしてしまった、浴槽の底が抜けて怪我をしてしまったというように、建物が原因で人や物に損害を与えてしまった場合に適用される保険です。上限は、一般的に1億円までとなっています。掛け金も安いので、オーナーさんとしては、絶対に加入したほうがよい保険だと言えるでしょう。

 

また、重要な点はどこの保険会社の保険にどこの代理店を通して入っているかです。地震や火災が起こっても支払われなければ意味がありません。そのためには支払われやすい保険会社の保険を選ぶことが重要ですし、発言力の強い代理店を通して入る必要があります。ですので、オーナーさんが個人的に入ることはお薦めできません。スケールメリットを生かせる管理会社を通して入ったほうがよいでしょう。管理戸数の多い管理会社は往々にして発言力が強いためです。

入居者保険とセンサーで入居者の「孤独死」に備える

昨今は高齢化や家族関係の希薄化に伴い、孤独死のニュースを頻繁に目にするようになりました。アパート経営においては、もし自分のアパートで孤独死が起こってしまい発見が遅れてしまえば、資産の大幅な毀損となりますので防がなければいけません。

 

実際当社の管理物件でも孤独死が発生したことがあります。その方は50代の単身の方でしたが、死後3週間で発見されました。亡くなられたのは真冬でしたが、住んでいた16m²のワンルームの部屋を改修するのに150万円ほどかかりました。また、空室期間も長期化し賃料を3割ほど下げることで次の入居が決まりました。

 

当社で実践する孤独死に対するリスク管理としては、まず入居者保険があります。当社では提携する少額短期保険会社の孤独死に対応した入居者保険を利用しています。これは、万が一入居者が孤独死した場合、オーナーさんが孤独死によって被った損害の補償を受けられる仕組みです。ただし、費用負担はオーナーさんで、1戸当たり3000円程度(一棟単位で加入)かかります。高齢者を入居させる場合には必ず加入することをお薦めします。

 

孤独死が発見された場合、家賃保証分として最大200万円、原状回復費用相当分として100万円が補償されるかなり手厚い保険です。これによって万が一孤独死が起こってしまっても、原状回復費用および家賃相当額が補償されることになります。

 

ただ、そうは言っても孤独死は未然に防ぎたいもの。そこで次善の策として、高齢者の単身世帯にセンサーを付けるという方法もあります。費用は大体万4〜5万円くらいです。このセンサーは一定時間、人が動かなければ自動的に知らせる機能を備えていますので、入居者の異変にいち早く気付くために有用です。

 

高齢者人口が全体の25%を占め、今後さらに上昇していくわが国においては、高齢者対策(入居促進)は欠かせません。

 

その一方で、高齢者ゆえに起こってくる、孤独死というリスクを回避しておく必要があります。今回ご紹介したような保険とセンサーを活用することで、高齢者を入居させることを可能とし、それが、全体的な入居率の向上につながることを知っておいていただきたいと思います。

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    本連載は、2013年7月2日刊行の書籍『改訂版 空室率40%時代を生き抜く!「利益最大化」を実現するアパート経営の方程式』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    本連載は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資・経営(管理運営)の成功を保証するものではなく、本連載を参考にしたアパート事業は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本連載の内容に基づいて経営した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。なお、本連載に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後、変更されることがあります。

    空室率40%時代を生き抜く!  「利益最大化」を実現する アパート経営の方程式

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    大谷 義武 太田 大作

    幻冬舎メディアコンサルティング

    アパート経営は今までと同じやり方では利益が出ない時代へと状況が大きく変わってきています。歴史上初めての大きな転換期を迎えていると言っても過言ではありません。だからこそ今のうちに、アパート経営を見直し、しっかりと…

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