前回は、賃貸併用住宅の建設に適した「土地選び」のポイントを取り上げました。今回は、土地選びで注意したい「区域区分」のルールを見ていきます。

建築・開発行為のルールが複雑な「市街化調整区域」

建物を建設する前に知っておくべきこととして、法規にもとづく制限が挙げられます。

 

法規にもとづく制限が生じる恐れがあるのは、その土地に賃貸併用住宅を建設できるか否かが法規上、問われるからです。例えば都市計画法との関連では、市街化を抑制すべき「市街化調整区域」という区域区分が問題になります。

 

この区域区分は、「都市計画区域」と呼ばれる区域内を「市街化区域」と「市街化調整区域」に区分けするものです。市街化区域は、すでに市街地を形成している区域か、おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域です。これに対して市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域ですから、建築・開発の行為は原則として認められません。

 

そうはいっても、現実の市街地にこの区域区分が適用されるようになったのは、1960年代以降のこと。市街地や集落はすでに、あちこちに生まれていました。そのため現実には、一定の条件を満たせば建築・開発の行為は認められる場合があります。ただそれでも、こうした行為を認めるか否かを定めているルールは非常に複雑なので、市街化調整区域内の土地に関しては、あまり積極的に検討すべきではありません。

地区計画や建築協定など地域独自のルールがある場所も

市街化区域に関しては、都市計画で用途地域と呼ばれるものが定められています。商業地域や工業地域など、その種類は12あります。そこでは用途地域ごとに、建設できる用途と建設できない用途が定められています。

 

賃貸併用住宅の自己居住部分にあたる「住宅」や賃貸部分にあたる「共同住宅」はおおむねどの用途地域でも建設可能ですが、唯一「工業専用地域」だけは、それらの建設が認められていません。ただ工業専用地域はまさに工場地帯と呼ぶのにふさわしい場所に指定されるものですから、土地選びの段階ではこの点はそう意識する必要はありません。

 

気を付けたいのは、地区計画や建築協定といったその地域独自のルールが定められている場所があることです。通常の住宅地であれば、そこで定められたルールの中で一戸建て住宅の建設が禁じられることはまずありませんが、共同住宅の建設が禁じられることは考えられます。

 

共同住宅は戸建て住宅より規模が大きくなるため、例えば日当たりを妨げる恐れがあるなど、周囲の住宅地にマイナスの影響を与える可能性があります。賃貸住宅であれば、その地域に一時的に住んでいるにすぎないという軽い感覚から、入居者がゴミ出しなど生活上のルールやマナーに無頓着になりがちなため、地域住民に歓迎されない場合もあるのです。戸建て住宅地の良好な住環境を守りたいという気持ちからルールが定められている場合もあるので、そういう戸建て住宅地は要注意です。

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    本連載は、2017年8月25日刊行の書籍『絶対おトク!賃貸併用で実現する0円マイホーム』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    金子 征司

    幻冬舎メディアコンサルティング

    賃貸併用住宅は、マイホームの一部を賃貸用の部屋にして、家主が自宅として住みながらも家賃収入を得られる「働くマイホーム」です。しっかりと賃貸管理を行って家賃を確保できれば、住宅ローンの返済を毎月ゼロ円に抑えること…

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