前回は、安全・安心・快適という視点から、賃貸併用住宅のエリア選びのポイントを取り上げました。今回は、人口動態から「賃貸併用住宅」建築のエリア選びについて見ていきます。

ビジネス拠点が集積する東京圏は、賃貸需要も強い

賃貸部分の借り手がつきそうな場所について、一つの手掛かりになるのが「人口動態」です。人口の増えているエリアであれば、住まいを求めている人もいるということです。

 

では、人口が増えているのはどこでしょうか。

 

日本全体で見ると、人口はすでに減少傾向を見せています。しかし都道府県単位で見る第と、減っているところもあれば、増えているところもあります。

 

「住民基本台帳人口移動報告」(総務省統計局)によれば、2016年に転入者が転出者を上回った転入超過は、東京都(転入超過7万4177人)、千葉県(同1万6075人)、埼玉県(同1万5560人)、神奈川県(同1万2056人)、愛知県(同6265人)、福岡県(同5732人)、大阪府(同1794人)の7都府県です。東京圏の人口吸引力の強さが際立ちます。

 

[図表]都道府県別転入・転出超過数(日本人移動者) (2015年、2016年)

出所:総務省統計局「平成28年住民基本台帳人口移動報告」(2016)をもとに作成
出所:総務省統計局「平成28年住民基本台帳人口移動報告」(2016)をもとに作成

 

大まかなエリア設定ではありますが、人口が増えているエリアとしてまず挙げたいのは、やはり東京圏です。東京圏は、政治・経済の中心地として三次産業を中心にビジネスの拠点が集積し、全国の4分の1以上に相当する人が暮らしています。

 

ビジネス拠点と人が集積しているということは、そこに多くの仕事が生まれるということ。全国の若者が、進学先へ、就職先へ、と東京圏に次々と流入してきています。東京圏の転入超過を支えているのは、こうした若年層。つまり、賃貸住宅の借り手になる層にほかなりません。東京圏では賃貸需要も強いということです。

理想のエリアは「東京中心部から30分圏内」

賃貸部分の借り手がつきそうな場所選びとは、賃貸需要をどこで見込むかということです。入居者として若年層をターゲットにするなら、大学やビジネス拠点との行き来がしやすいエリアです。今ここでは仮に入居者として社会人を想定し、ビジネス拠点との行き来のしやすさに条件を絞りましょう。

 

候補として挙げられるのは、通勤の便を考えて、鉄道で30分以内に東京中心部と結ばれるエリアです。NHKが5年ごとに実施する「国民生活時間調査」の結果によれば、2015年の通勤時間は全国で往復1時間19分、東京圏で往復1時間42分となっていますが、理想を言えば、通勤時間は片道30分程度にとどめたいところ。東京中心部の30分圏内は一つの候補エリアといえそうです。

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    本連載は、2017年8月25日刊行の書籍『絶対おトク!賃貸併用で実現する0円マイホーム』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    金子 征司

    幻冬舎メディアコンサルティング

    賃貸併用住宅は、マイホームの一部を賃貸用の部屋にして、家主が自宅として住みながらも家賃収入を得られる「働くマイホーム」です。しっかりと賃貸管理を行って家賃を確保できれば、住宅ローンの返済を毎月ゼロ円に抑えること…

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