前回は、儲からないマンションは「今すぐ」売却し、再投資すべき理由を説明しました。今回は、所有するマンションの売却もリカバーも不可能になってしまった、典型的な失敗事例を紹介します。

売却のための資金が足りず、収支の改善が不可能に・・・

リカバーもできなければ、売却したくても売却できないこともあります。それは次のようなケースです。

 

<リカバーできないケース>

①キャッシュがない(持ち出しでの売却が不可能)

②管理組合の合意がとれず、民泊が不可能

 

①キャッシュがない(持ち出しでの売却が不可能)

 

私がこれまで受けた相談の中で、約90%以上の方が売却を選択されています。

 

ここで一番問題となるのは、年収が500万円程度の人が、3戸も4戸も買ってしまっているケースです。そういった場合は、月々の持ち出しもかさみ、賃貸経営がかなり厳しい状況に立たされていることが多いです。

 

読者の皆さんの中には「損をする物件なのに、なぜもち続けているのか」と疑問に思うかもしれませんが、端的に言えば、資金不足で売るに売れないのです。

 

相談を受けた不動産オーナーの中には、売却のための資金がなくて諦めている方も少なくありません。

 

先述したように、ある程度の自己資金を使える人は、残債を減らして収支を改善させたり、持ち出しでの売却ができます。言ってみれば損切りですが、売るためにも資金が必要なのは説明した通りです。

 

これが、まったく手もちがない状態では、売りたくても売れない状態となります。

民泊への転用もできず、収益を上げられない

②管理組合の合意がとれず、民泊が不可能

 

賃貸収入を増やして赤字を減らす、もしくは黒字に転換させられるのであれば所有し続けることができます。

 

そのためには、インバウンド需要を見込んだ民泊は大きな可能性のある有効な手段と言えますが、民泊転用について禁止している管理組合は多く、そもそも住居専用地域にある物件は民泊条例に合致しません。そうなってしまうと、家賃収入を多く得る手段もありません。

 

①と②ともに、売ることもできず、収益を上げることもできず、行き詰まってしまうケースです。

 

私の経営する会社では、売却の意思がありながら必要なキャッシュが足りない人に対して賃貸管理(管理費は月2000円の定額制)を請け負い、キャッシュフローを上げながらお金を貯めてもらうという選択肢を提示しています。

 

また、お客様の中には、お金を借り入れて売る方もいらっしゃいます。清算するために持ち出しをする現金が300万円だとした場合、銀行で無担保ローンという、担保のいらない融資を組むのです。

 

あくまでも無担保ローンなので、キャッシングローンと同じようなイメージです。金利は4%程度で、いわゆる消費者金融よりはかなり安く設定されています。

 

こういった話をすると、「なぜ、そこまでして売るのか?」と思われるかもしれません。それは端的に言えば、その物件を長く所有し続けるほうがリスクだからです。

 

現状の損と、5年後、10年後の損を試算して数値化してみればわかることです。今ここでお金を他から借りて物件を売ったほうが、結局得かというジャッジができるかどうかです。

 

その無担保ローンを借りてしまうと、月々の支払いが今までより高くなる可能性もあります。しかし、中長期的に見たときに、結局ランニングコストや空室のリスクなどを掛け算した結果、今、物件を手放して300万円の負債を抱えたほうがスマートだという判断もできるのです。

本連載は、2016年8月13日刊行の書籍『その区分マンションは今すぐ売りなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

その区分マンションは 今すぐ売りなさい

その区分マンションは 今すぐ売りなさい

渡邊 勢月矢

幻冬舎メディアコンサルティング

区分マンション投資にはリスクがあります。 たとえば新築で区分マンションを購入し、サブリース契約がついている場合。見掛け上家賃収入が入る状態でも、物件本来の収益性が低いケースがあります。また収益性向上のためどんな…

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