前回は、介護施設による「個別対応」の重要性について取り上げました。今回は、在宅に近い環境で生活を支援する「グループホーム」の役割について見ていきます。

「認知症」の診断がないと入所できないが…

グループホームは、認知症の症状のある人を対象に、入浴、排泄、食事などの介助や、日常生活上の支援を行う施設です。認知症の診断がないと入所できませんが、最近は概ね80歳を過ぎると認知症と診断されることが多く、以前に比べて入所のハードルが下がっているといえます。

 

基本的に自立して日常生活を送れる認知症の人が対象で、小集団でのユニットで共同生活を行います。

 

私の法人の施設「グループホーム美々(びび)」では、「ぼちぼち」を合言葉に9人という少人数で、より在宅に近い環境での生活支援を行っています。平均要介護度は2~3。認知症があってもみな元気で、自分の好きなことや興味のあることに対して積極的に取り組んでいます。自分の部屋の掃除や料理、おやつづくりなども手伝ってもらっています。洗濯物干し、洗濯物たたみ、野菜づくり、壁面のかざりつけなどを行うこともあります。

 

地域との交流も積極的に行っているため、家族や近隣の住民も、自分の家のように気楽に訪ねてくれる、アットホームな場所になっています。

多くのグループホームはアクティビティの実施を重視

認知症を抱えている利用者が暮らす場であるグループホームでは、認知症の進行を遅らせるためにも生活の中で五感(触覚、嗅覚、視覚、味覚、聴覚)を刺激することが重要です。そのため多くのグループホームでは日替わりのアクティビティを実施しているほか、フラワーアレンジメントやお茶会などを毎月開催しています。

 

また、私の法人の運営するグループホームでは認知症対応型通所介護を併設しているため、合同でアクティビティを行います。また隣地に設立した保育園とも合同で、花見や節分、夏祭りや敬老の会など季節ごとに園児と交流する機会をつくっています。

 

グループホームは、定員数が5~9名と少ないため、介護職員1人が把握しなければならない利用者の数(定員)が少なく、日中の利用者が多い時間帯でも担当を決めて個別対応することが可能です。「利用者とじっくり接したい」と思っている介護職員にとっては、最適な職場環境といえます。

 

特に認知症を抱えている利用者は、常に不安を感じています。そうした不安に寄り添い安心感を与えるような対応をすることがとても重要です。

 

表情、身だしなみ、言葉づかいに注意するのはもちろん、話しかけるときは言葉のトーンを落とし、耳元でゆっくり話しかけます。「家に帰りたい」「ごはんを食べていない」というような訴えも、否定せず受け入れることで、利用者は落ちつきを取り戻します。

 

相手の話を理解し、傾聴する姿勢を忘れないようにしましょう。

 

[図表]グループホームのタイムスケジュール

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