管理会社の「従業員の職業意識」が賃貸経営に及ぼす影響

今回は、管理会社の「従業員の職業意識」が賃貸経営に及ぼす影響について見ていきます。※本連載では、フィルコ株式会社 代表取締役・芝辻保宏氏の著書、『賃貸マンション 管理会社VS自主管理』(株式会社澪標)の中から一部を抜粋し、不動産賃貸経営における、「管理会社への委託」と「自主管理」、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

やりがいを感じられず、早々に退職してしまう従業員も

前回の続きです。

 

(2)社員の定着率

 

さらに難しいのは業務を長く続けるためのモチベーションを保てるかです。毎日毎日同じ仕事をしているようでは、効率は良いのですがその仕事にやりがいを感じるのは難しいものです。

 

特に解約精算業務や営繕というと入居者との電話でのやり取りが多くなり、また内容もどちらかというと大家さんにとってはマイナスの話やクレームに発展することも多く、仕事とはいえ気分の良いものではありません。

 

マイナスのイメージを持った仕事というのは生産性が上がりませんので、他の部署と比較しても、行きたくない部署となるでしょう。

 

管理業はクレーム産業ということをお話ししましたが、実際に管理会社に勤めることによって、うつ病など精神的な病になる方も少なくありません。

 

そして給与体系も厳しいものがあります。給与査定者が仕事の評価をどのように、どの程度してくれるかも仕事のモチベーションの一つになりますが、業務が異なると同じ部署にいながら給与体系や査定するポイントを定めるのが難しく、なかなか誰もがわかりやすい評価体制にするというのは難しいものです。

 

効率を上げるための分業、マニュアル化はいいことなのですが、本来の不動産賃貸業という観点と生産性やモチベーションを保つためには何かと難しいところではあります。

 

このようなところから社員が早期に退職する会社が多く、社員が定着しないことが悩みになります。

同じ会社に頼んでも、担当者によって空室率に差が・・・

(3)サラリーマン担当者

 

管理会社に委託することで最も重要なのは大家さんの担当が誰になるかということです。名のある大手不動産管理会社だから安心だと任せてみても、いざ担当者の能力が異なると全く別の結果になります。

 

不動産賃貸管理会社の社員はあくまでもサラリーマンであり、大家さんが担当者を指名することはできません。10年以上の経験のあるベテラン社員が担当することもあれば、入社3ヶ月の新入社員が担当になることもあるでしょう。

 

もちろん業務効率化の為にマニュアルをしっかりしていて、「我が社は社員教育が行き届いているので、入社数ヶ月でもベテラン社員に引けを取らないスキルがありますのでご安心ください」などと言われることもあるでしょう。

 

確かに専門知識を共有して持っておりますし、わからないことがあれば社内に相談できる社員はいくらでもいると思います。それでも実際に行動に移すのはその担当者になりますので、結局はこの能力や意識の違いで不動産管理の差に影響してきます。

 

同じ管理会社に任せているのに担当者によって空室が多かったり、入居者からのクレームが多かったり、提案力の違いにより物件の商品力が異なるケースは多々見受けられます。これらのことは大家さんに直接跳ね返ってくることですので、同じ管理委託料を支払っているのに同じレベルのサービスを受けられないということになります。

 

ある担当者は会社から残業時間を制限されているにもかかわらず、仕事にひたむきで、残業の毎日を送る者もいます。あるサラリーマン担当者は自分の給料に見合った仕事しかしません。残業代も出ないので、残業することもありません。分担業務で日々やってくる業務を粛々とこなしていくだけで大家さんや関係各社、お客様の顔など見えていない会社もあります。

 

自分の給料に見合った仕事というのを自分で線を引いて自己満足をしているサラリーマン担当者がどれだけ多いことでしょうか。

 

重要なのは『大家さんの立場に立ったものの考え方をどこまでできるのか』です。志を持って仕事に取り組んでいる方もいますので、そのような方が担当についてくれるのが望ましいです。

 

不動産管理会社にとって、大家さんはお客様ですからお客様の為に誠心誠意業務を遂行しているのは当然です。もちろん支払った対価なりの仕事をしてくれれば契約違反でもないですし、対価以上のものを求めるのは酷かもしれません。

 

しかし、動いてくれる担当者はあくまでも企業側の人間です。個々の大家さんのことよりも企業の利益といかに効率よく業務をこなすかだけを考えているところが大半なのです。

本連載は、2017年6月10日刊行の書籍『賃貸マンション 管理会社VS自主管理』(株式会社澪標)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「不動産」この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます

「国内不動産」この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます

連載管理委託? 自主管理? 大空室時代の賃貸物件「管理」術

フィルコ株式会社 代表取締役 宅地建物取引士

コンピュータ専門学校卒業後、コンピュータシステムの会社に勤務。その後、大手不動産会社に転職。不動産賃貸管理の部署に配属され、主に一棟アパート・マンションの管理業務に携わる。
またグループ会社への出向等で業務の幅を広げ、賃貸管理の受注業務、区分所有建物や一棟アパート・マンション、駐車場などの売買業務を経験し、多くの資産家と出会う。
しかし一社員としての仕事に限界を感じ、更なるステップアップを目指し、不動産賃貸物件にとどまらず、不動産の有効活用や不動産の売買などの不動産資産を通じて資産家の悩みを相談できるコンサルティング会社としてフィルコ株式会社を設立、代表取締役に就任。

著者紹介

賃貸マンション 管理会社VS自主管理 ~大空室時代を生き抜く賃貸経営術~

賃貸マンション 管理会社VS自主管理 ~大空室時代を生き抜く賃貸経営術~

芝辻 保宏

株式会社澪標

人口の減少、住宅の供給過多の中、不動産賃貸経営はより一層厳しい環境にさらされています。 これからの賃貸経営の勝ち組になるにはどうすればいいのか。不動産業界に20年以上携わってきた筆者が不動産賃貸経営における悩みを…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧