相続対策にも役立つ、不動産の「分析・価格予測」のポイント

前回は、相続対策に有効な「贈与の特例法」の活用術を取り上げました。今回は、「不動産の分析・価格予測」のポイントを見ていきます。

東京オリンピック・リニア新幹線の動向に注目

高齢の資産家は、どうしても相続のことが頭から離れません。価値のある不動産を持っているならば、どのように遺産分割、相続したらよいかと思い、もし価値のない不動産を持っているならば、その資産を相続することで配偶者や子に迷惑をかけたくないと考えるものです。

 

そこで、そのような高齢の資産家が元気なうちに取り得る対策をここで整理しておきましょう。重要なポイントのひとつは、「不動産の分析・価格予測をしっかりとやっておくこと」です。

 

不動産の価格、価値がどのような要因で決まるかについては本書の第2章でお伝えしたとおりです。その要因に照らして、自分自身の所有している不動産の価値が上がるかどうかを一つひとつ見極めていくのです。

 

首都圏では、個別的な要因として東京オリンピック・パラリンピックの影響も無視できません。その開催に伴い、価値が上がる不動産もあれば、価値の上がる不動産のすぐ近隣なのに価値が上がらない不動産もあるはずです。

 

要因は単一のものだけでなく、複合的に絡み合うものなので、「これがあるから上がる(下がる)」とは言いきれない面もあります。ですから、本来は専門家にその不動産の有効活用も見越して相談し、コンサルティングしてもらうべきであることは言うまでもありません。

 

さらに首都圏では、東京オリンピック・パラリンピックの次に、リニア中央新幹線の新駅開設も大きな影響を与えます。新駅の開設のかなり前から用地買収等が進んでいて、具体的に不動産事情を追えていない面もあります。

 

そうした影響もあり、リニア中央新幹線の新駅開設が不動産の価値にどう影響するかは、不動産の専門家でもわかりにくい面もあります。一般的にいえば、期待はできるけれど期待値は未知数なので、その動向をつぶさに確認していく必要もあるのです。

 

なお、このことは首都圏側の起点の品川近辺だけでなく、新駅が設置される予定の相模原、甲府、飯田、中津川、名古屋にもいえることです。従来、人口が増えてきた地域とはいえないだけに、新駅が設置されて期待は高まっても、不動産の価値としては高くはならず期待外れということも起こり得ます。

 

これまで東海道新幹線の駅があり、ビジネスホテル需要が高かった地域の不動産が徐々に値下がりしていくことが起こるかもしれません。ひとつの事象でも要因は様々な面に波及するので、一概に期待していいとはいえないのです。

 

ですから、そのような地域では、地元の信頼できる不動産業者にアドバイスを受けることが欠かせません。

将来価値の予測では、外国マネーの流入も考慮

将来価値の予測では、特に首都圏の場合、国内のことを考えるだけではなく世界経済がどのように推移するかについても、考慮するべきです。

 

第2章でも示しましたが、端的に説明すると、外国のマネーが日本の不動産を標的にするかどうか、どのように標的にするかということが価値の変動に大きく関わってくるのです。

 

10年も経てば、Jリートもより整備され、透明度が高くなり、外国のマネーが流入しやすくなっているかもしれません(いないかもしれませんが・・・)。

 

もし、流入しやすくなっているとすれば、湾岸の流通基地とその周辺の不動産の価値の変動にも影響を与える可能性もあり、首都圏に新しく建てられた商業施設やビルの資産の所有の仕方がたくさんの資産家の証券としての所有に変わるケースもあり、それが将来の価格に影響してくるでしょう。

 

地方の資産家には少々酷な言い方をすれば、現状、不動産は東京圏一極集中であることは避けられず、それが今後何年も続きます。日本全体の人口減少、オリンピックなどの国際的なイベント、外国のマネーの矛先など、どのような要因をとらえてみても、将来、不動産の価格にプラスの影響を与える要因が東京圏の他にはほとんど見当たらないからです。

 

本書の第3章でも、地方の広大な土地を売却して首都圏のマンション数室に資産を組み替える例を紹介しましたが、それは将来を見据えれば当然の対策でもあるのです

「相続・事業承継」この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます

「相続対策」この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます

連載塩漬けになった不動産から利益を生み出す方法

東京アーバンコンサルティング株式会社 代表取締役社長

1967年、慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、三菱信託銀行入社。本店不動産部配属となり、不動産仲介・鑑定・開発・各種コンサルティング業務に従事する。その後、米国ロサンゼルス支店融資課長、次長、本店国際不動産コンサルティング業務担当部長等を歴任し、1991年に米国三菱信託銀行(ニューヨーク)会長兼社長に就任。
95年、英国系国際不動産コンサルティング会社である日本ナイトフランク株式会社代表取締役社長に就任。97年に東京アーバンコンサルテング株式会社を設立、現在に至る。
不動産鑑定士。不動産カウンセラー(日本不動産鑑定協会)。不動産コンサルティング技能資格(国交省所管)。宅地建物取引主任者(国交省所管)。不動産専門調停委員(東京簡易裁判所)。

著者紹介

改訂版 塩漬けになった不動産を優良不動産に変える

改訂版 塩漬けになった不動産を優良不動産に変える

相馬 耕三

幻冬舎メディアコンサルティング

バブル崩壊以降、買ったはいいものの収益を生んでいない賃貸物件や、地価の暴落でほったらかしになっている土地を抱える不動産オーナーは多くいます。ソニー生命の不動産整備などを実現してきた経験豊富な不動産コンサルタント…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧