前回は、相続税対策としてのマンション購入で留意すべき点を取り上げました。今回は、相続対策に「都心のマンション購入」が有効な理由を見ていきます。

不動産なら「相続税評価額」を大幅に下げられる

前述のように、収益を生み出していない地方の広大な土地を処分して首都圏の立地条件の良いマンションを購入する・・・このような資産の組み替えは、現在の資産の有効利用としても、将来の相続対策としても有効です。

 

その一例として、郊外の一戸建てを処分し、都心の中高層のタワーマンションを購入するケースを考えてみましょう。結論を先にいうと、こうした資産の組み替えにより収益物件にすることで、生活に余裕ができるうえに、相続税評価額を大幅に下げることができるのです。

 

相続税評価額を下げるには、まず、財産を現金や預金で持っているよりも、不動産として持っておくほうが有利です。不動産で所有していれば、土地については、普通は路線価をもとに評価額を算出するので、概ね8割程度の評価となります。また、建物については、普通は固定資産税の評価額が適用されるので、その額は概ね価格の5〜7割程度にはなるでしょう。

1LDKクラスの部屋なら、都心でも固定資産税が低い!?

高さ60メートルを超え、耐震性を図るための性能評価を義務づけられた中高層のタワーマンションの場合では、固定資産税の評価額はどうなるでしょうか。

 

当然ながら、中高層のタワーマンションは総戸数が多く、土地の評価額は床面積に応じて配分されるので極端に小さくなります。たとえば、都内一等地の中高層タワーマンションにあるワンルームや1LDKクラスの部屋の場合、年間の固定資産税額が10万円未満というケースもあるのです。

 

これをまったく知らない人は「東京の一等地だから固定資産税も高いのだろう」と思うかもしれませんが、現実はまったく異なります。驚くほど税額が低いのです。

 

なお、建物の評価額についても同様です。総戸数の床面積全体から各戸の床面積に応じて配分されるので、評価額は小さくなります。

 

相続税評価額では、日当たりの良さ、眺望といったものは反映されないので、条件の良い不動産を買うほど、分譲価格と相続税評価額の差が大きくなります。それだけ相続税対策につながるのです。

 

もし、中高層のタワーマンションの高層階を購入し、賃貸に出すことができれば、借家扱いになり、さらに相続税評価額を引き下げることができます。賃貸用の土地の「小規模宅地等の特例」を使うと、200平方メートルまでなら5割の評価減ができます。

 

こうした特例をフルに活用すれば、相続税評価額は分譲価格から大幅な減額となるケースもあります。

 

なお、前述のとおり高さ60メートル(20階)を超える居住用タワーマンションは、2017年4月1日より取引価格と同様に高層階の固定資産税は高く、低層階の固定資産税は低くなっているので注意が必要です。すでに販売済みの物件には適用されません。

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