日本の長期金利の指標となる「新発10年国債利回り」

今回は、日本の長期金利の指標となる「新発10年国債利回り」について解説します。※本連載は、瀬良礼子氏をはじめとする三井住友信託銀行マーケット事業の著書、『60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ』(NHK出版)の中から一部を抜粋・再編集し、「債券市場」の見方・読み方をご紹介します。

「10年物国債」にも多くの銘柄が存在

第1回で説明したように、長期金利の代表的指標とされているのは、10年物の国債利回りですが、10年物国債と一口にいっても多くの銘柄があり、発行条件が異なっています。日本の長期金利の指標とされるのは、「新発10年国債利回り」です。

 

新発10年国債とは、直近に発行された国債のことです。その名の通り「新しく発行された」10年国債です。この新発10年国債が流通市場で取引される際の利回りが、日本の長期金利の指標とされます。

時間が経過するにつれ、残存期間が短くなる「債券」

ところで、債券は株式とは異なり、時間が経過するにつれて残存期間が短くなっていきます。例えば、現在、残存期間10年の債券でも1年経過すると残存期間が9年になってしまいます。

 

そうすると、たとえ同一の債券であっても1年前と同じ性質を持っているとはいえなくなります。このようなことを避け、「10年債」としての性質を維持するために、長期金利として参照される10年国債は、新しく発行されるたびに、最新の銘柄に入れ替えられています。

 

下記図表にある通り、仮に現在の新発10年国債が「347回債」とすると、次に新しい10年国債が発行されると「348回債」へ、その次は「349回債」へと変わっていきます(⇒用語解説)。

 

[図表]新発10年国債は入れ替わっていく~銘柄変更

 

 用語解説  回号

債券は同じ発行体が何度も発行を繰り返す場合があります。発行条件が異なる債券を銘柄ごとに区別するため、「回号」という番号を付します。例えば、2017年7月時点の新発10年国債は「10年利付国債(第347回)」ですが、第347回という回号が付されています。 

 

以上、連載第1~4回では債券利回りの基礎を解説してきました。ここまでのまとめは、以下のとおりです。次回からは、長期金利の変動要因について解説していきます。

 

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筆頭執筆スタッフ・プロフィール:
瀬良 礼子(三井住友信託銀行 マーケット・ストラテジスト)
1990年に京都大学法学部卒業後、三井住友信託銀行に入社。公的資金運用部にて約6年間、受託資産の債券運用・株式運用・資産配分業務に携わった後、マーケット企画部で自己勘定の運用企画を担当。以後、約20年にわたり、為替・金利を中心にマーケット分析に従事している。また、2000年に「金融マーケット予測ハンドブック」の執筆スタッフの一員となり、継続して改訂を担当している。2013年発行の第5版以降、執筆者代表として全体の監修も担当している。
情報が付加価値の源泉との意識をもちつつ、「経済統計など実際のデータをあたりながら、金利・為替市場の現状を読み解き、未来への展望を探る」、というスタイルで市場分析・予想を行っている。

著者紹介

60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ

60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ

三井住友信託銀行マーケット事業

NHK出版

株や投資信託で儲けたい人も、退職金を運用したい人も、NISAやiDeCoをお得に使いたい人も、まず必要なのは金融の知識! 現役マーケット・アナリストである著者が、わかりやすく金融のしくみを伝授する。著者の資産運用成績も…

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