債券の運用で得られる3つの「収益」とは?

本連載は、瀬良礼子氏をはじめとする三井住友信託銀行マーケット企画部の著書、『60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ』(NHK出版)の中から一部を抜粋・再編集し、「債券市場」の見方・読み方をご紹介します。

長期金利の理解には「債券利回り」の理解が不可欠

長期金利とは何の金利を指すのか、あらためて問われると戸惑う人も多いのではないでしょうか。株価や為替レートと比べると、長期金利は身近に感じにくいかもしれません。一般的に10年物の国債利回りが代表的な長期金利とされています。例えば、市場で取引される日本の10年物の国債利回りが大幅に上昇すると、テレビや新聞の報道で「日本の長期金利が大幅に上昇した」と伝えられます。

 

したがって、長期金利を理解するためには、まず、債券の利回りについてしっかりと理解しておく必要があります。

債券の収益には利息と値上がり益がある

ところで、「利回り」とは何でしょうか? 利回りは「運用期間全体にわたって発生する利息およびすべての収益の元本に対する割合を年平均したもの」です。

 

債券で資金を運用したときのすべての収益は、図表1に示したように3種類あります。しかし、ここではわかりやすさを優先し、「単利」の考え方で利回りを説明していきますので、「③受取利息の再投資から発生する収益」は利回り計算に算入しないこととします。したがって、債券の収益は、①利息(インカム・ゲイン)と②債券価格の値上がり益(キャピタル・ゲイン)と考えてください。

 

※「単利」とは、運用開始時の元本にのみ利息が発生し、その都度利息が支払われるしくみです。それに対し「複利」とは、運用で得た利益を元本に追加し、「元利合計額(元本+利息)」を新たな元本とみなして、利息が付くしくみです。

 

[図表1]債券の収益

 

図表2は、確定利付債を購入した後、時間の経過にしたがって収益が発生するパターンを図示したものです。利息は利率に基づいて一定期間ごとに発生し、値上がり益は購入時と償還時の価格差から発生する様子がわかります。

 

[図表2]確定利付債の利益発生のパターン

(注)ここでは、経過利息を考慮しないですむように、前提条件を設定。
(注)ここでは、経過利息を考慮しないですむように、前提条件を設定。

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連載基礎から学ぶ金融マーケット~債券市場と長期金利の関係

筆頭執筆スタッフ・プロフィール:
瀬良 礼子(三井住友信託銀行 マーケット・ストラテジスト)
1990年に京都大学法学部卒業後、三井住友信託銀行に入社。公的資金運用部にて約6年間、受託資産の債券運用・株式運用・資産配分業務に携わった後、マーケット企画部で自己勘定の運用企画を担当。以後、約20年にわたり、為替・金利を中心にマーケット分析に従事している。また、2000年に「金融マーケット予測ハンドブック」の執筆スタッフの一員となり、継続して改訂を担当している。2013年発行の第5版以降、執筆者代表として全体の監修も担当している。
情報が付加価値の源泉との意識をもちつつ、「経済統計など実際のデータをあたりながら、金利・為替市場の現状を読み解き、未来への展望を探る」、というスタイルで市場分析・予想を行っている。

著者紹介

60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ

60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ

三井住友信託銀行マーケット事業

NHK出版

株や投資信託で儲けたい人も、退職金を運用したい人も、NISAやiDeCoをお得に使いたい人も、まず必要なのは金融の知識! 現役マーケット・アナリストである著者が、わかりやすく金融のしくみを伝授する。著者の資産運用成績も…

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