前回は、在宅生活への復帰をサポートする「介護老人保健施設」の役割について取り上げました。今回は、個別対応の実施で「利用者のQOL」を高めた介護施設の事例を見ていきます。

注目したのは利用者と職員の「空き時間」

事例:津介護老人保健施設

 

個別対応の充実で利用者の満足度を高める

 

●利用者を観察する能力を育てる

●家族の協力を得て利用者の希望を知る

●個別対応をするために仕事の効率化をはかる

 

津介護老人保健施設には、約100人の利用者が入所しています。施設では週3回、季節に応じたゲームなどのアクティビティを提供しています。

 

しかしこうしたアクティビティは、集団的な行事が主になってしまい、集団行事が苦手な人や、ADL(日常生活動作)の面で参加が困難な利用者も多いため、全員が参加するのは難しいのが実情でした。

 

そこで職員は、利用者全員が楽しむことができ、満足度を高めるアクティビティを実現するため、集団行事の充実をはかるだけではなく、利用者それぞれのQOL向上に向けての個別対応・個別行事を実施することに力を入れることにしました。

 

個別対応を行うには、通常の介護のほかに個別対応を担当する職員の確保と、時間の有効活用が必須です。そこで注目したのが「空き時間」でした。

 

リハビリや入浴の時間は、利用者一人ひとりに介護職員が対応しているため、どうしても「待ち」の利用者が発生してしまいます。その時間に注目して個別の対応を行ったのです。

 

具体的には、入浴を終えて座っていたり、リハビリの順番を待っていたりといった「空き時間」ができた利用者と、手の空いている職員が、将棋をしたり、簡単な工作をしたりしました。

 

介護職員にとっては、個別対応のための時間をどのように確保するかが大きな課題となります。そこで、シーツ交換などの日常業務を効率化し、早く終えるようにして、時間をつくり出すことにしました。たとえ15分でも空いた時間ができれば、利用者とのゲームや手芸など個別対応の時間にあてることができます。

利用者の趣味・嗜好に合った個別対応が重要

充実した個別対応をするためには、時間の長さよりも利用者が何を望んでいるのか、何が好きなのかを把握し、適切なサービスを提供することが必要です。

 

そのために大切なのは、介護職員のコミュニケーション能力です。利用者との会話の中で、あるいは行動を観察する中で、個別対応のきっかけを見つけます。

 

それでもふさわしい個別対応が見つからないときは、家族への聞き取りやほかの介護職員の気づきから、利用者の興味のありそうなことを探し出したり、若い頃の話をしてもらって、利用者本人も忘れていた記憶から好みや希望を導き出します。そして、利用者それぞれの個性を正しく知ってプランを立てるのです。

本連載は、2017年8月26日刊行の書籍『利用者満足度100%を実現する 介護サービス実践マニュアル』から抜粋したものです。

利用者満足度100%を実現する 介護サービス実践マニュアル

利用者満足度100%を実現する 介護サービス実践マニュアル

山田 俊郎

幻冬舎メディアコンサルティング

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