今回は、ハワイの学校で身につけられる「ダイバーシティ」について見ていきます。※本連載は、ハワイ教育移住コンサルタントのイゲット千恵子氏の著書、『経営者を育てるハワイの親 労働者を育てる日本の親』(経済界)の中から一部を抜粋し、ハワイと日本の「教育」の違いについて比較・検証します。

小さい頃から「異なる文化」を理解できるようになる

ハワイの学校で学ぶことの意義は、「ダイバーシティ(多様性)」を育むのに最適な環境であることも挙げられるでしょう。

 

ダイバーシティを理解するうえで必須となるのが、「バイリンガル」と「バイカルチャー」です。

 

「バイリンガル」が、日本語と英語といったように、母国語のほかにもうひとつ別の言語を話せることを意味するのに対し、「バイカルチャー」とは、異なる文化を理解できることを意味します。

 

ハワイには、いろいろな国の人が住んでいて、両親が別々の母国語を持つ家庭も少なくありません。必然的にバイリンガルが多い環境の中で子どもが育つので、自然と子どもがバイリンガルになりやすいのです。

 

いっぽうのバイカルチャーについては、こんなエピソードがあります。

 

息子が小学校低学年の頃、

 

「日本人の子とアメリカ人の子と、お友だちになる方法が違う」

 

と言うのです。

 

どういうことかと聞いてみると、アメリカ人の子どもは、先に自分が名乗ってから、友だちの名前を聞いて、一緒に遊び始めます。

 

それに対して日本の子どもは、少し遊んで仲良くなってから名前を聞かないと教えてくれないというのです。「お名前は?」なんて先に聞いてしまうと、かえって敬遠されてしまう、と。

 

息子は、その国の子どもたちの性格や習慣によって、友だちのつくり方を変えると
いうことが理解できたのです。

 

小さな頃から自分と異なるルーツを持つ相手のカルチャーを理解し、異なる考え方があることを知っているからこそできるコミュニケーションスキルだなと思いました。

多様な文化への理解が「高いビジネススキル」を育む

ビジネスの現場では、相手の文化を理解しているかどうかによって、交渉や契約といったことに大きな差がついてしまいます。

 

よく日本人は、海外ビジネスで騙されたなどと言いますが、これはアメリカ的な考えでいえば、騙されたのではなく、疑わなかった、検証、確認を怠った本人が悪いということになります。

 

その点、バイリンガルとバイカルチャーが身に付いているハワイの子どもたちは、ダイバーシティの考え方にも慣れています。

 

何かあったときに、自分の価値観だけで物事を判断していないか、「本当にそうかな?」と考えたり、確かめたりという思考的な訓練も小さな頃からしているのです。

 

これからの日本は、どんどん外国人が入ってきて、自分の上司や部下が外人になる可能性がある時代です。一人ひとりが違うのはあたりまえですし、たとえ海外に住まなくても、ダイバーシティを理解していくことが必要になってきます。

 

もちろん、日本国内でも、英語を話せる子どもを育てることはできると思います。

 

しかし、世界とビジネスをしなければ、生き残れない時代が来ることを考えると、異国での体験に勝るものはありません。他国を理解するのは、百聞は一見にしかず、体験しなければ身に付かないことです。

 

ハワイほど、良い規模でダイバーシティが体験できるところはないかもしれません。

 

ハワイにはADHDやアスペルガーといった障がいを持った子も、留学や教育移住をしています。

 

協調性を重んじる日本では理解されにくいのですが、アメリカではADHDやアスペルガーといった障がいは、神様から与えられた特別な能力だと考えられています。

 

たとえば、スティーブ・ジョブズなどの「天才」といわれている人たちは、みんな高いIQとなんらかの障がいを持っていて、常人にはない集中力や創造力を発揮して世の中を変えたのだといわれています。

 

それを可能にしたのは、障がいを天才に導く教育があったからだと思います。

 

日本でも、こうした子どもたち向けの学級はありますが、アメリカのプログラムはさらに進んでいて、将来その子たちが自分の能力を社会に役立てられるように教育していきます。

 

彼らがきちんと生きる道を見つけ、さらには本人も何か楽しんで生きていけるというプログラムは素晴らしいなと思います。

 

障がいを才能と認め、ある種、天才を育てるのがアメリカの教育システムだとしたら、飛び抜けた能力や才能を一定の枠に押し込めて、普通の人をたくさんつくり、会社で使える労働者に育てるのが、日本の教育システムのように思うことがあります。

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