前回は、東南アジア不動産投資における「リスク回避」のポイントを紹介しました。今回は、海外不動産投資を行う際の銀行・税理士の活用術について見ていきます。

「現地の金融機関」で融資を受ける方法もある

不動産投資の魅力は、なんといっても少ない自己資金でも高額な物件が買えるレバレッジ効果です。そこには金融機関からの融資は欠かせません。

 

日本の不動産の場合、ドクターならばその信用力から頭金なしのフルローンも比較的容易です。しかし海外不動産では、日本の銀行は現地の不動産価値を調べる術を持っていないなどの理由から融資に積極的でない傾向があります。

 

そこで検討したいのが現地の金融機関の利用です。東南アジアの多くの国々では、現地の銀行や外資の大手銀行が外国人向けの融資を行っています。ただし、金利は日本よりも高めで頭金ゼロでは無理なケースがほとんどですから、どのように資金調達するのがベストかは、やはりパートナーとなる不動産会社とよく相談したほうがいいでしょう。

 

東南アジアの不動産投資を検討する際、不安になるのが言葉の問題です。しかし、この部分はそれほど心配する必要はありません。ほとんどの場合、現地見学では日本語のできる不動産会社のスタッフがアテンドをしています。また、筆者著書『海外不動産で資産を増やす!医師のためのフィリピン・カンボジア投資』で紹介しているフィリピンなどではパンフレットや契約書は英語で書かれています。皆さんの多くは英語でのコミュニケーションは苦手でも、英文を読むことはある程度できるのではないでしょうか。そのため、英語の通じる国の物件を選べば、さらに心配は無用ということになります。

 

把握するのは至難の業・・・税管理は「税理士」に一任

海外不動産を保有していても、日本の税務署はその存在を把握できないのではないか、と考える人もいるでしょう。確かに、資産を海外に移転させて課税を回避する資産家がいることは事実です。しかし、そのままで大丈夫なわけではありません。日本には「国外財産調書制度」があるからです。この対象は日本在住で、12月31日時点で時価5000万円を超える海外財産を保有している人です。対象者は3月15日までに財産の種類、数量、価格などを国外財産調書に記入し、所轄税務署へ提出しなければなりません。正当な理由なく提出しなかったり虚偽の記載をしたりすると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。

 

海外の不動産を購入、保有していれば当然ながら税金がかかります。これは日本の不動産と同じです。ただし、日本と違うのは、日本でかけられる税金と現地でかけられる税金があるということです。

 

例えば、フィリピンの場合、不動産購入時にVATという付加価値税がかかります。これは物件価格の12%。また、マレーシアの場合、5年以内の保有物件の売却益に対して30%、5年を超える保有物件の売却益に対して5%のキャピタルゲイン税がかかりますが。

 

このように税制は各国によって様々です。すべてを把握するのは、忙しいドクターでなくても至難の業ですから、基本的には現地の税制にくわしい税理士をパートナーから紹介してもらいましょう。

 

ここまで読むと、日本と海外の両方の国に対して重複して納税義務が発生するように思えるかもしれませんが、そんなことはありません。日本には「外国税額控除」があるからです。これは海外で納税すれば一定金額を上限として、その納税額を日本の所得税額から差し引ける制度です。気になるのは「いつの時点の為替レートで控除できるのか」ですが、控除に適用されるレートは期中の平均レートとなっているので、一時的な円高や円安を気にする必要はありません。

 

 

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    本連載は、大山一也氏・織田耕平氏の著書『海外不動産で資産を増やす!医師のためのフィリピン・カンボジア投資』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部を抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    大山 一也,織田 耕平

    幻冬舎メディアコンサルティング

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