今回は、個人投資家が「株の短期投資」で収益を上げられない理由について、改めて考えます。※本連載は、さわかみホールディングスの代表取締役で、日本における長期運用のパイオニアとして知られる澤上篤人氏の著書、『これが長期投資の王道だ』(明日香出版社)より一部を抜粋し、株式「長期投資」の極意を紹介します。

株式投資でなかなか儲からない理由はふたつ

世の多くの投資家は株で儲けようと血眼になったり、いろいろな投資手法を試したりで、涙ぐましい努力をしている。

 

あれこれ頑張ってはみるものの、一般的な株式投資で大きな投資収益を手にするのは意外と難しい。なかなか思うようには儲からない。むしろ、手痛い損を出して撤退するケースの方が多い。

 

なかなか儲からない理由は、大まかにいってふたつある。ひとつは株価を追いかけて値ザヤを抜こうとすること。もうひとつが、儲かりそうな株を買おうとすること。どちらも長期投資家の眼には、ムダな努力としか映らない。

刻々と変わる株価…短期での予想は不可能に近い

ひとつずつみてみよう。まず株価を追いかけると、どうなるか? 1人あるいはごく少数の投資家がマーケットに参加しているだけなら、株価の値動きを的確にとらえて値幅取りするのも、そう難しくはない。

 

ところがマーケットには、ありとあらゆる投資家が参加してくる。それも、多種多様な価値判断やら目的、それに利害関係を持ち込んできてくれる。また、売買のタイミングも投資家それぞれ好き勝手な判断による。

 

それら全部が群がり集まって株価が決まる。次の瞬間には、出来上がったばかりの株価情報をベースとした、新しい価値判断が多種多様に集まり寄ってくる。そして、その最大公約数で新しい株価が形成される。

 

次から次へと新しい波が寄せては返すを延々と繰り返しながら、株価は時々刻々と形成されていくわけだ。

 

最近では1秒間に1000回を越すトレーディングを執行する高速売買も加わってきているから、株価がどう転がるか予測もつかない。そういった株価変動を追いかけて値ザヤを稼ごうとするのは、もう神技の域といってよい。

 

株価変動をひたすら追いまわす短期投資やディーリング売買は、やっている本人たちが必死に頑張るほどには儲からない。それは昔からのことだが、宝くじと同じで、誰もがいつかは億万長者になれると信じて止まない。ほとんどが徒労に終わる。

 

最近では、さらに難しくなってきている。コンピュータがちょっとした株価変動をとらえて、瞬時に値ザヤを取りにいくようプログラミングされているから、対応の速さでは個人投資家などとうてい及ばない。

 

それでも、多くの投資家は飽くことなく短期の値幅取りの挑戦を続けているわけだ。

これが長期投資の王道だ

これが長期投資の王道だ

澤上 篤人

明日香出版社

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