今回は、会社の「資金ショート」を防ぐ4つの対策を紹介します。※本連載は、戦略財務コンサルティング事務所・株式会社TCRの代表取締役で、財務全般のコンサルティング業務を全国で展開する武田健一氏の著書、『社長、その借金、なんとかできます!〜元銀行マンが教える「見切り」の事業再生』(合同フォレスト)より一部を抜粋し、傾いた事業を立て直すファーストステップとなる「資金ショート」完全防止対策について解説します。

対策さえ万全なら、資金ショートは必ず防げる!?

会社経営をしている社長さんたちにとって、「資金ショート」は最もおそるべき事態のひとつですが、不可抗力の事故とは違い、万全に対策さえすれば、ほぼ100パーセント、その事態を防ぐことができます。

 

しかも、その対策とは、なにもむずかしいことを行うわけでもありません。先に申し上げた経営態勢を含め、次の4つのことを実行するだけでよいのです。

 

これを私は「資金ショート完全防止対策4つの柱」と呼んでいます。詳細については、次回以降でお話しします。

 

①キャッシュフロー経営に徹する……常にお金の出し入れをチェックする。

 

②PL思考よりBS経営……「利益がある=お金がある」という考え方を捨てる。

 

③「〝入り〞が先で、〝出〞は後」……月ごとの入金日を支払い期日より前に設定する。

 

④「現金決済」に徹する……手形・小切手を振り出さなければ、「不渡り」は起こらない。

「キャッシュフロー経営」が求められる理由とは?

「PL思考」とは、「利益があがっている=お金がある」という考え方ですが、対する「BS経営」では、「実際に手元にお金がある=お金がある」という考え方になります。

 

ある学者さんの言葉を借りれば、現金が〝事実・現実〞なら、PL上の利益は〝バーチャル〞にすぎません。バーチャルの世界で経営するのではなく、現実世界で経営することが、大切なのです。

 

PL思考の人がはまりやすいのは、「先行投資」の落とし穴です。「1000万円先行投資すれば、半年後には2000万円の売上がある」といったような、いわゆる「儲け話」に乗ってしまったがために、資金繰りが苦しくなり、最悪の場合はショートする、というパターンです。

 

もともと運転資金に余裕があれば、先に1000万円を出金して、ようやく半年後に2000万円の売上があがるとしても、その間、残った運転資金で商売を回していくことができます。

 

しかし、1000万円を出金した後、手元にわずかなお金しか残っていなければ、他に売上をあげるための取引もできず、ただ2000万円の入金が予定された半年後を待っていることしかできなくなります。

 

しかし、その2000万円の売上金が半年後、確実に入るという保証は、「現実」にはないのです。今、現実にないお金は「ないもの」と考えなければならないのです。

 

この「現実世界」で生きぬくためには、「キャッシュフロー経営」に徹することが必要です。キャッシュフロー経営により、常にお金の実際の出入りをチェックすることで、経営の安全性を図り、経営基盤を強化することができます。BS経営、キャッシュフロー経営は、実際、資金ショート防止の第一の切り札になるといってもいいでしょう。

 

この話は次回に続きます。

社長、その借金、なんとかできます! 〜元銀行マンが教える「見切り」の事業再生

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武田 健一

合同フォレスト

「マネーの虎」南原竜樹氏 推薦! 「借金2000万で首をつるな! マイホームも愛車も手放さなくていい! “地獄から脱出“するためのあの手この手がここにある。」 不渡り・倒産・破産は正しく理解・想定すれば怖くない! …

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