今回は、メンフィスとハワイの例で、自分の「好み」を優先して投資をする危険性について見ていきます。※本連載では、Win/Win Properties, LLCの呉純子氏(パートナー/アメリカ代表)が、日米での不動産開発や都市計画作りに携わった経験なども踏まえ、米国不動産投資の穴場といえる「メンフィス」の最新不動産事情をご紹介します。

なぜ「住みたい物件=投資物件」としてはならないのか?

皆さんは投資物件を買う際に「自分が住みたい場所」を選んでいませんか?

 

自分が住みたいところを投資対象とする、好みの物件と投資物件を混同させる人はたくさんいます。しかし、当然ですが、投資物件は自分が住む物件ではありません。投資は主に数字で判断するものです。もちろん他のファクトもチェックしますが、その数字が自分の求めている基準に合うか否か、必要なのはただそれだけなのです。

 

自分が住みたい場所や建物には、さまざまな希望があるでしょう。都会か、田舎か。安全性、ショッピングセンターとの距離、学校区のレベル、公園の有無。インテリアは木か、大理石かなど。これらは全て、それぞれのライフスタイルによる「個人の好み」です。そのため、条件や環境が自分に最適だと思えば、少々値段が高くても選んでしまいがちです。

その不動産に投資する「目的」は何か?

では、投資とはどのような目線で行うべきでしょうか。まず、不動産投資の場合は以下のような目的を明確にしなければなりません。

 

●何年間の投資を考えていますか? 1年だけ? 5、6年? それとも10年以上?

 

●どれぐらいのリターンを求めていますか? 毎年安定的に得られるインカムゲイン? それとも最後に売却した時のキャピタルゲイン? それとも節税が目的?

 

もちろん、複数の目的があるとは思いますが、現実的に全てを得られるマーケットはなかなかありません。例えば、6年の中期投資でインカムゲインを目的とした投資だとしたら、まず調べるのは、物件に期待される予測賃貸価格です。収入のほとんどは家賃によって決まるからです。そして次に、経費の数字を見ます。保険料、固定資産税、管理費、その他。これら全ての数字を明確にして、年間のROI(投資利益率)を算出します。

 

例えば、海が好きで投資物件をハワイに購入したAさんの場合です。Aさんの希望する投資は、15年の長期で安定した毎年のインカムゲインを得ることだとします。もしAさんが住みたいハワイで投資物件を購入した場合、その利益損失はどれぐらいになるでしょうか? メンフィスの同価格の物件と比較してみてみます。

 

ハワイ物件サンプル「一軒戸建」

物件価格:750,000ドル

予測賃貸価格:2,800ドル/月、33,600ドル/年

予測表面利回り:4.5%

予測経費後利回り:2.4%

 

メンフィス物件サンプル「四軒まとめ買い」

合計物件価格:750,000ドル

予測賃貸価格:4,000ドル/月、48,000ドル/年

予測表面利回り:6.4%

予測経費後利回り:5.3%

 

投資の数字に着目して判断した場合、この例では、メンフィスの方が2.9%有利だということが分かります。つまり、Aさんがハワイの投資物件を購入した場合には毎年21,750ドルの損失をすることになり、15年間で326,250ドルの累計損失になるのです。たとえハワイのキャピタルゲインがメンフィスを最終的に越えたとしても、この累計損失には追いつかないでしょう。

 

このように、住みたい場所と投資したい場所はきちんと分けて判断することが重要です。投資で利益を得て、そのお金を自分の好きなライフスタイルに使うのが最も理想ですね。

 

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