クリニック開業のための物件選び・・・ビルの一室を借りるのは?

前回は、クリニックのスタッフの採用で医師の負担を減らす「経営コンサルタント」の活用について説明しました。今回は、クリニック開業のための不動産探しで、留意すべきポイントを見ていきます。

クリニック開業には、ある程度広い物件が必要だが…

医師が開業するために必要なものの中で、最もコストのかかるのが不動産物件です。一般の会社であれば、自宅の一室を事務所としたり、あるいは格安の極小レンタルオフィスで開業したりすることができますが、クリニックの場合そうはいきません。

 

診察室、待合室、受付、トイレなど、ある程度の設備と広さの備わったフロアが必要ですし、その見た目や雰囲気も重要です。「病は気から」ということわざがあるように、患者によい「気」を与えることも、クリニックにおいては大切だからです。

 

しかしある程度の広さの物件を借りるとなると、それなりに手間とコストがかかります。地域や物件にもよりますが、毎月何十万円から何百万円の家賃を覚悟しなければなりません。

 

もちろん、クリニックを開いて患者を診察していけば、それなりの収入はあります。しかし計算を間違えると、患者数の割に広すぎる物件を借りてしまって家賃支払いに苦しむとか、金融機関から融資を受けて建物を建てたものの、建築費が予想以上にかかってしまってローン支払いに追われるなどの事態にもなりかねません。計画段階から、慎重な判断が必要です。

「ビルの一室を借りる」がおすすめできない理由

一般に、クリニックの開業における物件の選定には、以下のような方法があります。

 

①ビルの一室を借りる

②建物を丸ごと一棟借りる

③土地だけ借りて、建物は自分で建てる

④地主に建物を建ててもらって、土地と建物をセットで借りる

⑤土地を買って、建物も自分で建てる

 

まず①のように、既存のビルの一室を借りて開業するケースは、地価が高く、空き地の少ない大都市などでよく使われる方法です。

 

この方法は、個人的にはあまりおすすめできません。なぜならば、地価が高いために、あまり大きなフロアを借りることはできませんし、すでにできあがっているビルのフロアの一室にクリニックをデザインするので、内部の設計などに自由が得られないからです。

 

場合によっては、これから建てられるビルの一室を借りることを提案されることもありますが、その場合でも、他の借主との兼ね合いがありますから、1クリニックの意見だけが通ることはありません。

 

また、ビルの1フロアで開業するときは、それが1階であれば外からも目立ってよいのですが、2階以上となると、なかなか通行人の目に触れないので集患の面で不利になります。

 

肛門科や泌尿器科、精神科など、あまり人目に触れない方が逆に患者にとっては入りやすいというケースもありますが、一般の内科や小児科であれば、ビルよりも一棟丸ごとの建物の方が経営には有利です。

 

また、ビルの診療所では、患者のための駐車場がなかなか用意できないという弱点もあります。都市部で駅直結のビル、もしくは駅前のビルなどで開業するのであれば駐車場は必要ありませんが、地方都市で駅から距離がある場合には駐車場は必須です。そうなると、駐車場も含めて土地を借りてしまう方が、何かと便利になります。

 

当たり前のようですが、患者は病人です。健康な人であれば徒歩10分の距離は散歩と変わりませんが、病気を患っている患者にとってはけっこうな苦行になります。ですから、車での来院を可能にする駐車場は、患者のためを考えるのであれば、どうしても必要なものになります。

 

この話は次回に続きます。

本連載は、2017年1月26日刊行の書籍『自己資金ゼロ・ローリスクで 儲かるクリニックを開業する方法』(幻冬舎メディアコンサルティング)の本文から一部を抜粋したものです。

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連載自己資金ゼロで「儲かるクリニック」を開業する方法

株式会社GSKコミュニケーションズ 代表取締役

1971年生まれ。
1999年から労務を主にしたコンサルティング業務を行い、2004年、株式会社GSKコミュニケーションズを設立。
不動産賃貸業、管理・ソフトウェア開発のほか、飲食業や人材派遣、自動車販売業などさまざまな業種のコンサルティングに従事。さらに2006年4月より「大志の会」「有志の集い」「市川直樹塾」を主宰し、中小企業経営者に向けて講演会やシンポジウムなどを積極的に開催。これまで300社以上の中小企業経営者のコンサルティングに取り組んでいる。 2011年にはしいの木子どもクリニックを開業、クリニックと調剤薬局の経営コンサルティングを手がけ、開業以来5年間で約9万人の患者の集患に成功している。

著者紹介

自己資金ゼロ・ローリスクで 儲かるクリニックを開業する方法

自己資金ゼロ・ローリスクで 儲かるクリニックを開業する方法

市川 直樹

幻冬舎メディアコンサルティング

勤務医は慢性的な医師不足で時間外の労働が多く、給与も働きに見合わず、過酷な労働環境におかれています。 一方、そうした状況から理想の医療の実現を目標に開業する医師もいますが、都市圏のクリニックは今や乱立状態にあり…

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