前回は、なぜ京都は、東京と比べて供給戸数が少ないのかを取り上げました。今回は、物件価値を高める、京都市独自の「建築規制」について見ていきます。

超高層ビルやタワーマンションを規制する「容積率制限」

今回は、京都市独自の建築規制について詳しく見ていきます。

 

京都市の観光地ブランド戦略に最も重要といわれているのが、2007年から実施されている「新景観政策」です。

 

京都市は、観光都市としてのブランド戦略の一環として、この歴史ある京都市の優れた景観を「守り、育て、50年後・ 100年後の未来へと引き継いでいく」という理念のもとに、建物の高さやデザイン、屋外広告物などを厳しく規制しています。これは「努力目標」ではなく、「町並みと不調和であれば建築済みでも撤去もある」という、徹底した「規制」です。

 

この政策の中では京都市独自の「容積率制限」が定められています。容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合で、建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)と共に、どこの地域でも制限が設けられています。たとえば、東京都では200~1300%の容積率の規制が場所によってかかっていますが、京都市は上限が700%です。

 

通常、新築マンション建設のターゲットになるのは近隣商業、商業、準工業の3つの地域ですが、商業地域の中心、最もビルが密集しているような地域でも容積の上限が700%である上に高さ制限もあるため、京都市では東京のような超高層ビルやタワーマンションを建てることはできません。

 

[図表1]京都と東京の容積率制限の違い

11階以上の建物の建築を禁止する「高さ制限」

京都市にはこの容積限に加え、さらに厳しい「高さ制限」もあります。

 

「京都の美しい景観を阻害するような建物を建ててはいけない」ということで、幹線道路、烏丸(からすま)通り、五条通り、などの幅員が広い大通りに面した一等地でも、建築物の高さは最大で31mまでに制限されています。

 

31mとは大体10階建て相当の高さです。京都市内はくまなく高さ制限がかかっているので、京都市内には11階以上の建物は建設できないということになります。

 

図表11の白線の地域、幹線道路に囲まれたこのエリアは「田の字地区」と呼ばれている京都市で一番の繁華街です。田の字を作っている幹線道路沿いの土地の高さ制限は31m、少し中に入ると制限が厳しくなり15mになります。高さ15mというのは5階建て相当になりますので、かなり小規模な物件しか建築できません。

 

このような建築制限により高層マンションが建てられないため、京都は東京や大阪に比べて賃貸物件の供給戸数が大幅に少なくなっているのです。しかしながら、本書の第1章で紹介したような好立地、かつ需要の安定性から見ると、物件価値は大変高いと言えるでしょう。

 

[図表2]京都市内の高さ制限

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    八尾 浩之

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