飲食店の開業にあたってカギとなる資金調達。自己資金が少ない場合、公的な金融機関から融資を引き出すは至難の業です。本連載では、一般社団法人コンブリオの監事・引地修一氏の著書『飲食店開業のための 公的融資獲得 完全マニュアル』(TAC出版)から一部を抜粋し、飲食業が利用できる「創業融資」の種類と特徴を解説します。

「日本政策金融公庫が借りやすい」はデマに近い⁉

これから飲食店を始めようとする方の中には、「日本政策金融公庫なら簡単に資金を貸してくれる」 とか「政府系の金融機関がダメでも、いざとなったら、借りられるところはあるだろう」などと安易に考え、事業に着手してしまう方がたまにいらっしゃいます。

 

しかし、これから本気で事業を始めるのであれば、「現実はそんなに甘くない」ということをまずは肝に銘じてください。

 

そうでないと、高い確率であなたは「事業を始められない」、もしくは「短期間で撤退しなければならない」ということになりかねないからです。

 

最初に申し上げておきますが「日本政策金融公庫が借りやすい」とか「自己資金がなくとも融資が受けられる」というのは、現在ではまったくありえない、いわばデマに近い話です。

 

確かに10年以上前であれば、マレにそのようなこともなかったわけではありませんが、現在では開業を希望する方の多くが日本政策金融公庫からの借り入れに失敗し、「創業融資がこんなに厳しいとは思わなかった」と後悔しているというのが現実です。

 

また、同公庫には創業者向けの無担保無保証融資として「新創業融資」という制度があり、これは最大で「最大3,000万円(うち運転資金は1,500万円)」までを融資してもらえるものですが、この制度はある程度の「自己資金」がある方が対象なので、これがまったくない方や不十分な方は融資を受けることができないこととなっています。

無担保無保証で利用できる資金調達3つの常識

次に「日本政策金融公庫がダメな場合に他にも融資先があるか?」ということについては一定の要件を満たせる方であれば、創業者向けの「信用保証協会の保証付融資」を利用することができます。

 

「信用保証協会の保証付融資」については後ほど詳しく説明いたしますが、これは簡単にいえば民間銀行からの貸し出しに信用保証協会という政府機関(都道府県や一部市区町村ごとに作られています)の保証をつけたタイプの融資で、通常は「制度融資」という名前で呼ばれています。

 

この「制度融資」の内容はそれぞれの地域で異なりますが、およそ日本政策金融公庫に準じたものとお考えください。

 

この他の調達手段として、ファンドによる出資やノンバンクの融資を期待される方もいるかと思いますが、ファンドによる出資は斬新なビジネスモデルや発明性のある事業に対して行われるものであって、通常の飲食業ではありえません。

 

また、ノンバンクはほとんどの場合で、創業者に対しては融資を行っていないのが実情です(ただし、事業主個人に信用や資力がある場合は、個人名での借り入れができる場合はあります)。

 

また、それ以外にも、親からの借り入れや、担保・保証人を利用した融資などの手段も考えられますが、ここでは対象に入れないこととします。

 

以上のように、飲食希望の創業者が現実的に利用できる資金調達としては、

・ 「日本政策金融公庫の新創業融資」と「信用保証協会の保証付融資」(制度融資)の2つだけであり、いずれの融資を利用する場合でも、借入額に見合った自己資金の用意が必要。
・ 通常、1ケ所の金融機関による融資額は、最大で1,000万円~1,500万円までが上限。
・ ファンドによる出資やノンバンクの利用はできないと考えるべき。

 

という、3つの常識をまずはご理解ください。

本連載は、2014年7月1日刊行の書籍『飲食店開業のための 公的融資獲得 完全マニュアル』(TAC出版)から抜粋したものです。稀にその後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

飲食店開業のための 公的融資獲得 完全マニュアル

飲食店開業のための 公的融資獲得 完全マニュアル

引地 修一

TAC出版

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